夜伽噺

□愁
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細い畦道真綿を踏みゆけば

変わらぬ景色が吐息に臼暈けて

燻る煙が誘うあの場所に

佇む愛しい微笑み


あの日々の記憶そのままに

留まるこの胸に 

隙間風吹く夜はあの笑顔浮き沈む

触れそうな指先もどかしく

悟られない様に 

赤らめた横顔ふいに背けてみせた


淡いせせらぎ奏でる瀬の畔

しゃがんで見つけた四枚の白詰草

瞳合わせて交わした指切りに

貴方が零した泪一粒


過ぎ去りし季節手繰り寄せ

貴女に伝えたい

言葉にしてしまえば消えそうなこの想い


あの日々の記憶そのままに

留まるこの胸に

隙間風吹く夜はあの笑顔浮き沈む


さよならさえも告げぬままに

霧に霞む姿は

今も尚心に溢れあの時のまま


今も...

今も...
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