Dream story

□The other self
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閉ざされた重い扉に背を預け、凭れ掛かる狂神。
扉越しに感じるサガ達の小宇宙(コスモ)。
狂神は待つ。
サガ達を信じているからではなく、気に入っているから。
初めは、ギガント達冥闘士(スペクター)と同じ様に邪魔な存在だと思っていた狂神。
唯(タッタ)、数時間共にしただけで、気に入った。
サガ達と云う存在を気に入った。
(――否、聖闘士(セイント)と云う存在が気に入った……他の聖闘士達はどんなかな?)
考え想像し、思い膨らませ、狂神は独り待つ時間を潰した。

不意に小宇宙を感じ、顔を小宇宙の感じる方へ向ける。
其処には、一人の男が立って居た。
黄金の鎧を纏った男――それは、牡羊座(アリエス)の黄金聖闘士(ゴールドセイント)ムウ。
「貴女はっ?!」
扉に凭れる狂神の姿を見て、ムウは身構える。
しかし、狂神から殺気も小宇宙も何も感じず、ムウは構えを解き、扉へと目を向けた。
構えを解いたからと言って、狂神に対する警戒は解かない。
少女の姿をしていても、この少女は"狂神"と呼ばれ、冥闘士と共に居たのだから。
そして、得体の知れない"何か"が少女には在り、それをムウは感じていた。
兎に角、この少女の前では気を抜けなかった。



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