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□空想理論
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「はいこれ。
いつかスースに食わせようって思ってた奴さ。」
腰を掛けて待っていろと言われ、待っていて渡されたのは、肉まんやあんまんの仲間のようなまんじゅうだった
―――だが、ただのまんじゅうではなかった
相手が隣に腰を下ろすのも見ずにひとつ喉を鳴らすと、思い切りかぶりついた
一口では具に辿りつけず、すぐにまた口を開いた
「―――んっ?!」
想像しなかった甘味に驚愕し、噛みついた場所を目に入れる
「………………………」
「……いま、桃の見た目したあんまんって、結構噂になってんだけど……」
「………………………」
「知らなかったとは思わ……いや悪かったさ、ごめん、先に中身、言わなくて……」
どんな顔と目が合ったかは分からないけれど、天化は昨日の方向に目を投げた
そのまま黙って、ねこだましにあった気分で食べ続けた
「……さっき、いつか食わせようと、とかぬかしておった」
「桃の形したもんは全部スースの守備範囲だって思ってるかんね。」
半分に割って具を直接口にすると、
「これ想像以上に甘いさ」と困った顔を見せた
「まったく……不意打ちにも程があるわ。」
「情報通だから知ってると思ったさ」
「…………そっちじゃない、」
「ん?」
聞こえなかったようだったから、笑って答えた
「計算高いとは少し異なる賢さだと思っただけだよ」