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□趣味はなんですか
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 剣を振りまわしている天化の元に何気なく師叔が現れました


「今日も鍛錬か?」

「スース。
 ま、趣味みたいなもんさ。」


 そう言って2・3素振りをして、ふと天化は思い立ちました


「そーいや師叔の趣味って何さ?」

「そんなの、おぬ……じゃなくて、
 ……ひなたぼ……いや、惰眠を貪ること、かのう……?」

「最初以外は言いなおしたって中身同じさ。
 つか、よく聞こえなかったけど、最初に言おうとしたのが趣味なんじゃねーのかい?」

「……好みとしてはな。」


 好み = おぬし


「今 聞いてんのは好みじゃなくて、マラソンとかのこと聞いてるさ。」

「それくらい分かっとるわ。」

「分かってて、あえて惰眠かい……?」

「な、なんだ腹立たしいジト目は。」

「いや?
 んな趣味してっとマジで年相応って感じさ。」


 その一言に、笑う天化と肩を小さく震わせ睨んでいるスースがおりました




 ―――そんな数日後。


 天化は何気なく師叔の部屋に訪れました。


「ん?
 なにしてるさ?」

「新しい趣味。」

「もしかして占いかい?」

「うむ。
 一度、周で薪占いを披露した事もあって久々にな。
 いっちゃってもよいなら いわしでも出来るぞ。」


 今使っていたのは桃の種。

 入口近くのごみ箱には甘いにおいとその方向を放つ皮が捨ててありました


「ふーん……当たんのかい?」

「朝歌の西繁華街では一時期流行ったぞ。」

「あー……なんっか聞いた覚えあるよーな……」

「まぁ当たる所でおぬしには興味無いのは分かっておるがのう。」

「興味?」

「ないだろう?」

「…いっこ占ってもらおうかな……」

「ほう。この腕をおぬしに頼られる時が来るとはのう。
 で、なにを?」

「……恋愛運。」



 ※ご想像にお任せいたします



「………………」

「れ、恋愛運占って欲しいさ。」

「…………………」

「だから、恋愛……っ」

「んな赤い顔するほど恥ずかしいなら言うでないわボケェ!!」


 ぐいぐいぐいっと背中を押され、天化はスースの部屋から押し出されました


 少しの力で開けようにも寄りかかられているようで無理そうです


 莫野の宝剣を使えば扉に対して三秒ルールが発動できますがスースの感情に対しても発動しそうです


「……ケチ」


 天化は聞こえるように扉へとつぶやきました


「スースのケチ」

「スースの けちんぼ」

「スースのドケチ」

「スースの」

「くどいわっ!!」


 ばこん、とスースなりの力いっぱいで扉が開き、天化は額を負傷しました


「ってー……」

「ほら結果だ、もっとけ!」


 涙で何も見えないまま、天化が差し出された紙を手に持つと、また扉が勢いよく閉まりました


(なんさ、これ……?)



 痛みをこらえて瞳を開けると、墨汁で真っ黒なハートマークが横に五個並んでおりましたとさ









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