Short Dream
□試合と君と
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「へっへっへっ」
只でさえ暑苦しいこの男が
「いいもんくれてやるよ?」
「や、全力で遠慮しとく。」
いつにも増してウザったいのは何故?
仕方ねぇな、って言いながら何やらポケットを探り始める
「ジャーン!!!」
「………………」
机に出されたのはボロボロになったノートの切れ端
“特等席”
野猿らしい汚い字で書いてある
「天才ルーキー清田信長、記念すべき晴れ舞台の特等席チケットだぜ?」
「………………」
「日曜日だからな!!忘れんなよ?!」
絶対行ってやるもんかって思ってたのに
朝起きた瞬間思い出したのは信長のバカみたいな笑顔…で
“特等席”
日曜日の体育館。右手の紙切れとおんなじ文字で
御丁寧にあたしのフルネームまで書いてある破ったノートが
べったりガムテープで最前列に貼り付けてある
思わず笑ったら
「遅ェんだよ!」
下にいるアイツも笑ってる
「いいか?天才ルーキーから目ェ離すんじゃねーぞ!」
「了解。」
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