bird's-eye view
□06
1ページ/3ページ
私はたった今、初めて『運命』という言葉を信じた。
だって、これを運命と呼ばずに何と呼べばいい?
「あっさり見つけちゃったよ・・・漫画みたいなタイミングだな〜」
朝に出会ったあの少年は、今は中庭でお昼寝中だ。
あの学ラン、あの黒髪、あの整った顔はまさしく彼本人だろう。
寝顔がとびっきり可愛らしい。
――が、私は今2階の廊下の窓から見下ろしているので、はっきりとは見えない。
(えっと。下に降りよう。・・・でも、階段どっちだったっけ?)
フラフラと行き先も考えずに歩いていたので、間抜けなことに自分が歩いてきた方向を忘れてしまった。
左右を確認してみたが、――すぐに面倒になる。
授業中なので人は居ない。
だったら飛び降りても問題は無いだろう。
もう一度左右を確認した。人がいないかどうか、をだ。
そして誰も居ないことを確認してから、素早く窓を開け、するりと窓の外へ滑り出した。
心地よい落下速度に身を任せて。
ばねと常人離れした脚力を利用して無事に着地する。
「っしゃあ!!ナイス着地だ宇藤!天才じゃん宇藤!!抱き締めてキスしちゃうわ宇藤様!!」
「君うるさいんだけど」
「あ、ヤッベ」
馬鹿だ宇藤様。
着地地点のすぐ近くに黒髪の美少年が寝ていたにも関わらず、大声で自分を大絶賛してしまった。
言っていたことが丸々聞こえていたからか、すごく不審そうな目で私を見る、彼。
むくりと起き上がると大きな欠伸をひとつした。