bird's-eye view

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応接室へ向かって歩みを進めているところだった。

長身で丈夫な体つき、そして何よりも立派なリーゼントが特徴的の男子生徒と、廊下をすれ違った。
学ランを着ているということは、彼も風紀委員なのだろう。
くわえ葉っぱにリーゼント、プライドの高そうな眼差し。何処と無く昭和の匂いを感じさせる生徒だった。

彼の他にも学ランを着ている生徒をちらほら見たことがあるけれど、やはりどの生徒も厳つい顔と漢くさい雰囲気を持つ、マフィアの人間から見ても一筋縄ではいかなそうな生徒だった。


そして私は――そんな彼等の頂点に君臨している少年に、今から会いに行く。







人通りの少ない廊下を進んでいくと、すぐに目的の応接室へと辿り着いた。

一応、扉を軽くノックしても返事がない。
昼休みは大抵此処にいると聞いたけど――もう教室に戻ったのか?

念のためもう一度ノックをしてみる。


それにしても、いい音が鳴る扉だな。
応接室というのは所謂、客間だから、中はきっと良い家具が揃えられていて過ごしやすいのだろう。
だから扉も良いものを使っているのか。見た目では分からないけれど、きっとそうなのかもしれない。
心地よいノックの音に魅了されて、連続で扉をコンコンと叩いてみた。
やっぱりいい音だ。

コン・ココンコンコ・コンコ・ココン


「宇藤伊月。しつこい」


「お?雲雀さん居たんすか」


――突然、中から聞こえてきた不機嫌な声は、まさしく今私が一番会いたかった彼のものだった。
聞こえた途端に、心が踊った。出会って二日目でコレだ。かなりの重症だ。


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