bird's-eye view
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「やっべ……初日からの遅刻は免れないとなあ」
私はそう呟くと、今とめたばかりの目覚まし時計を握り締めてベッドから起き上がった。
急いで朝飯を胃の中にぶち込んでから洗顔、歯磨きを済ませる。
それからまだ着慣れない制服を着用し、改めてその制服の着心地を不思議に思った。
「……日本の学校の制服着れるなんて、夢みたい」
鏡に映った自分の顔は緩んでいる。いけない、と思って口の端を引き締め、玄関へ向かった。
そしてドアノブに手をかけて、叫びながら思いっきり押し開いた。
「良純!!私信じてるから!!」
――ドグッ
何かにぶつかった。
しかし気にすることなくそこから空を覗きみてみると――ああ、雲ひとつ無い青空だ。
良かった、だから石●良純は好きなんだ。いつもは信じないけどたまに信じれば当たるから。
数多い天気予報士の中で一番好きだ。
私は澄んだ空気を肺に迎え入れると、ゆっくりと吐き出した。
(さて、ダッシュで学校行かなきゃ)
「おいおい無視するな、ボスにドア叩きつけておいて…っ」
下から聞こえてきたうめき声に驚き、目線を落とすと――そこには見慣れた金髪の美青年が額を押さえて座り込んでいた。
私が今まで生きてきた中で最も信頼できる人で、仕事の上司でもある。
「……っ、え゛…?ちょ、オイオイ!ディーノさんいつの間にいたんですか!
愛する部下のことが心配で様子見にきてくれたってやつか、キャッホゥ!私ってば愛されてますねオイ!」
「当ったり前だお前、なんたって人生初の学校だろ?
どうせ寝坊でもしてるかと思って迎えに来てみたら案の定…今何時だと思ってんだ?」
「『私ってば愛されてる』発言を否定しないところが大好きですディーノさん!……あ、やっべ、あと10分以内に着かないと遅刻ですぜ」
「そうか、つーかオレにドアぶつけた事をスルーしたお前の潔さにもビックリだ。
まあ、可愛い部下だから許すけどな……今に始まったことでもないし」