bird's-eye view

□02
1ページ/2ページ




その少年は黒い学ランを肩に羽織り、口に不適な笑みを浮かべて私を見た。
学ランに負けないくらいの真っ黒な髪、するどい瞳。
それは――

(……ズキュン!)

とても私好みの男の子だった。


「うわあ…可愛い…!」


「……は?」


いけない、本音を口に出していたようだ。
それより、遅刻寸前だったことに気づき歩き始める。

さて、どうしようか。無視していってもいいものか、これは。



「君、今向こうから飛んできたよね」



――どうやら見られていたらしい。
私の走る姿は普通の人間には滅多に目で捕らえられない。
彼は素晴らしく動体視力が良いようだ。


(運悪いなあ)


ディーノさんに叱られる。
どう弁解すればいいのだろう。とりあえず今は遅刻しないのが先だ。
後でこの少年を見つけ出して口止めするしかないか。
いや、少年の口から『女子生徒が屋上に飛んできた』なんて聞いて間に受ける人間もいないだろう。
これは放っておいてもいい気がする。

私はケータイを見た。あと3分でチャイムが鳴る。


「……少年、幻覚でも見たんじゃない?君も遅刻するから早く教室行ったほうがいいよ。
アディオス!また会おう!」


――返事を聞く間も無く、私は立ち去った。


それにしても珍しく私好みの綺麗な少年だった。名前くらい聞いておけば良かったかもしれない。
あの少年……また会えるといいな。

そんなことを考えながら、私は小走りで職員室に向かったのだった。









担任の先生に連れられ、今日から世話になるクラスへと足を運んだ。

ファミリーのちょっとしたコネで、ある人達と一緒のクラスにしてもらっている。
ディーノさんの弟分で、ボンゴレファミリーの次期ボス候補の少年のいるクラスだ。
なんでもディーノさんの師でもある、有名なアルコバレーノのリボーンさんが家庭教師をしているとか。


次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ