bird's-eye view
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「――で、君は何でここにいるの。サボり?」
「や、そっくりそのままお返ししますが。今は授業中、君はここの生徒でらっしゃいますよね?」
「君だってここの生徒でしょ」
「ええそうですとも。君と同じここの生徒ですとも」
「じゃあサボりじゃない」
「ええそうですとも。君と同じサボりですとも」
寝ぼけているのかわからないけど、妙に話が噛み合わない。
目の前でまた一つ欠伸をした彼は、学ランのどこぞかに隠していたらしいトンファーを私の顔面向けてひと振りした。
――って、え!?
呑気に観察している場合では無い。
咄嗟に間合いをあけかわしたが、予想のできない急な攻撃だったためバランスを崩してしまった。
しかし追撃を予想し、直ぐさま体制を立て直す。
迎撃体制に入った私が睨み付けた先で、彼は口元を綻ばせて私を見ていた。
「ワオ、やっぱり君只者じゃないね」
「ワオじゃねえ!あっぶねぇ!!何で今の流れでいきなり戦闘シーン来るかな!?」
「僕の安眠を妨害した君が悪いんだろ」
「安眠妨害の仕返しにしてはタチ悪いでしょコレ!」
「でも残念ながら避けたじゃない」
「残念ながら避けます当然!」
本っ当に、吃驚した。
だって、まさかこんな綺麗な子がトンファー隠し持ってるだなんて考えてもいなかったし。
それに、いつもは私が『仕掛ける側』だからか、仕掛けられるのは随分久しぶりで、反応が遅れてしまった。
――危なかった。さっきの鋭いひと振りは、当たったら相当なダメージを食らうだろう。
この子、只者じゃない。
警戒を解くことなく構えていたが、ふいに彼がトンファーを下ろしたので、一応、私も構えを解く。
一体、何がしたいんだろう。