∬月の嵐∬

□再会
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某月某日、久方振りの休日相葉ちゃんと立ち寄ったショップの前で小さな女の子が大きな縫いぐるみを引き摺り目に涙を溜めてとことこ歩いているのが目に入った。



「あれ?迷子ちゃん?」


その幼女の下へ駈けていく相葉ちゃん。女の子の目線に屈み込むと



ふぇ…まぁま…にぃちゃ…ねぇちゃ…」



知らない人に声をかけられ驚いた幼女の目からポロポロと涙が溢れ出した。


「ありゃりゃ(アセ)、リーダー…ど、どうしよう?(汗)」



女の子を抱き上げておいらを見る相葉ちゃんに溜息を吐いた。



「“どうしよう”じゃないよ。交番に行くしかないよね。家族が心配『翔子!!』」



智の声に被るように聞こえた声の主が現れた。



「!!にぃちゃ!!ねぇちゃ!!(笑)」



相葉ちゃんに抱かれた女の子が腕からスルリとおり、満面な笑顔で両手を広げて駆け出す。



走って来た高校生位の男の子と小学高学年位の女の子が、幼女を抱き締めた。



「「…良かったぁ(ハァ)心配したんだよ!!(メッ)手を放したらダメだろ(でしょ)!!」」



「…めんちゃい(シュン)」


「「解ったのなら良いんだ(よ)さっ、お兄さん達に“ありがとう”言ってママの所へ戻ろうか?」」



「あい!にぃちゃ…あんと」



「翔子を拾って頂いてどうもありがとう御座いました。」



翔子を抱き上げたお兄さんがおいら達に頭を下げる。



「お兄ィ…何か違うと思う…」



兄の言動について突っ込みを入れる妹の姿に思わず頬が緩み翔子ちゃんの頭を撫でる。



「翔子ちゃんって言うんだねぇ…もう、お兄さん達のお手て放しちゃ駄目だよ」



「あ『隆志!唯!翔子!!』買}〜マ



おいらの言葉に肯こうとする翔子ちゃんの返事を遮った聞き覚えのある声が辺りに響き、翔子ちゃんの視線の先に目を向けた。


「「……緋紗子さん」」



懐かしい人が突然目に飛び込んで来た。昔と変わらず凛とした佇まい。誰もが振り返る容姿。あの頃より短くなった黒髪を風に靡かせ近付いて来る。



「にぃちゃ、おんりしゅるの!!ママのところいく」


兄から緋紗子さんに抱き付く翔子ちゃん。



「翔子!!」



兄妹から話を聴いた緋紗子さんがおいら達を振り返って固まった。



「…智君…雅紀君…」
 

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