∬月の嵐∬

□出逢いU
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緋紗子さんと出逢い、親密になるにつれて変化が現れ始めたんだ。



潤君や相葉ちゃんは、相変わらず会いに行く度に告白してるんだけど悉くスルーされ、相手にして貰えないってその都度凹んでたりする(苦笑)



ニノは、緋紗子さんと話をした後凄く優しい顔になるんだよね。



おいらは、緋紗子さんの事好きだし大事にしたいって思ってるよ。勿論、隆志君や唯ちゃんの事も…



でも、一番変わったのは翔君…今では、綾香ちゃんに内緒で緋紗子さんに1人で逢いに行ってるみたい。綾香ちゃんとこの頃会って無いんじゃないのかな?



って、翔君今、綾香ちゃんと電話中…あれ?翔君の眉間にシワが寄ってるよ?



翔「だから、今は仕事中なんだって!忙しいんだからそんな事位で電話してくんなよ!!」



珍しくイライラしてる翔君。



翔「だ〜か〜ら〜……もう切るぞ」



一方的に電話を切って、鞄に放り投げた。が、直ぐに着信音が鳴り出す携帯…


それを無視して新聞を読んでる翔君の眉間には未だにシワが寄ってた。



智「翔君、眉間にシワが寄ってるよ?何かあった?」



翔「智君…ちょっとね…そうだ、今晩飲みに行かね?」




仕事が終わって、翔君と行きつけのShotBARへ─



翔「お疲れ〜」



智「…で、何かあった?」


翔「…俺、綾香と別れようと思ってる。智君や松潤・相葉ちゃんは気づいてるだろうけど休み毎に緋紗子さんに逢いに行ってるんだ」



智「…」



翔「だから、この頃綾香とは会ってない。電話もしていない。大学も4回生ともなると学内で会うこともないし…俺、緋紗子さんを愛してる。世界中の誰よりも」



翔君の強い瞳には、緋紗子さんへの熱い想いが宿っていた。



智「…綾香ちゃんには、どう言うつもり?」



翔「綾香には、明日の夜に言う。『お前の他に好きな人が出来た』って」



智「…そっか」



翔君の告白を聴いた日が緋紗子さんと出逢って5年目の春



翔君が綾香ちゃんにどう切り出して別れたのか判らないけれど、行く先々に綾香ちゃんの姿があり、翔君に付きまとっている。季節は夏から秋へと移ろっていた。



そして、運命の日────


おいらと翔君は休みを利用して緋紗子さんに逢いに来ていた。



『久しぶり、翔君・智君』


ホテルのロビーで待ち合わせしていた緋紗子さんが笑顔で出迎えてくれた。と、その時



「やっぱり、緋紗子姉ぇと逢ってたんだね。緋紗子姉ぇが好きなの?翔」



翔「Σ綾香…あぁ、俺は緋紗子さんが好きだ。世界中の誰よりも愛してる」



翔君の言葉を聴いた綾香ちゃんは、バッグの中から果物ナイフを取り出し緋紗子さんに切りかかった。



「そう…だったら、緋紗子姉ぇが居なくなれば翔は私の所に戻って来るよね?だから、死んで?緋紗子姉ぇ」



翔「Σ綾香!」



智「Σやめろ、綾香ちゃん」



翔君が緋紗子さんを庇おうと手を伸ばしたが綾香ちゃんの持ったナイフは、緋紗子さんの腹部に深々と刺さった。



ずるずると崩れ落ちる緋紗子さん。茫然と立ち尽くすおいら達。騒然とするロビー



後の事は良く覚えてない。ただ、救急車とパトカーのサイレンの音そして



翔 「緋紗子ー」



翔君の悲痛な叫び。



綾香ちゃんは逮捕されたが心神耗弱で精神病院へ入院を余儀なくされた。おいら達はと言うと、マスコミ等の標的にならずあの事件は闇の中へ葬りさられた。緋紗子さんと事務所が揉み消した事さえ気づかない位子供だった。



そして、あの日以来緋紗子さんと一切連絡が取れなくなった。
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