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□TIME IS OVER
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幼馴染みで私生活でも仲が良いため上地は仕事中でも時々あだ名で呼ぶ。
野久保はそのたびに注意するが上地は直す気がないようだ。

「書類!さっきまでやってた会議の書類めちゃめちゃだったんだけどー!」

「はぁ‥嘘ぉ‥‥」

「嘘じゃないし!俺頼んだじゃん!なのに部数は違うし、止める順番も違うし何なの!?超嫌味言われて長引いて終わったんだけど!」

相当腹が立っているのか、滅多に怒らない上地は声を張り上げて鬱憤を撒き散らす。
野久保もこんなに怒りを露にする上地を見たのは久しぶりで、なだめることも出来なかった。
しかしそれよりもあんなにちゃんと念を押して注意したのに、失敗した挙げ句、今上司を怒らせているつるのに呆れた。
確かに普段から落ち着きないことも多く、ミスもするが。

「いや、あのそれ‥」

「ノックじゃないよね?ノックじゃないのは分かってんの。あー俺誰に確認回したんだっけ‥!?」

頭をがしがし掻いて思い出そうとしている上地に小さく応えた。

「‥つるのさんですよ。」

「はぁ?つるの〜?」

何処のどいつよ、と辺りのデスクを見渡す。
野久保は指差そうかと思って見たが、席につるのは居なかった。

「あれ?今いないみたいですね。てゆーか副編集長、つるのさんの顔知りませんでしたっけ?」

だいぶ落ち着いたのか、深く息を吐くとダルそうに自分のデスクのところへ足を運ぶ。

「あー分かんない‥顔と名前一致しないんだよね。関わり少なくない?」

「まぁ確かに。それでは僕帰ります。」

「は?」

軽くお辞儀をしたあと、さっさとデスク周りの片付けに取り掛かる。
残業するほどでもないので、家に持ち帰るようだ。
一瞬呆然としたが、興味無さ気なその野久保の態度と残業だらけの自分との違いにまた苛々がつのっていく。

「あーはいはいノックなんかホモに好かれたらいーの。」

「お疲れ様でした。」

「ちょっとリアクション。」

振り返らずに去っていく野久保の後ろ姿を忌々しく見て、溜め息が漏れた。

「つるのって誰‥?」




   *



上地が大きな声で野久保に愚痴っていたのを聞いて、慌てて逃げた。
廊下を小走りで進み非常口や階段がある薄暗い中へ入り込む。
大した動きでもないのに息が上がっていた。

「あ、はぁっ‥ど、どうしよ‥上地副、編集長怒って‥っぁう‥」

体育座りが崩れたような、膝を合わせて座り込んだ股間にゆっくり手を運ぶ。

「くぅ‥っは、いたぁ」

きつく触れたわけでもないのに、びくっと肩を震わせると自身の尿道口あたりをズボンの上から引っ張る。

「‥っ‥ひぃっ」

身体全体を震わせ右手で股間をいじる。
左手は口元に当てて薬指をゆるく噛むと涎を口角から、たらっと溢しながら舐めた。

「ぁ、きもちいぃ‥はぁっ上地しゃ‥」

今頃上地は自分を探しているかもしれない、見付かったら書類不備の話でこっぴどく叱られる筈だと思うと益々止まらなかった。
ズボン越しに触るせいで、ぐちゅぐちゅと音が立つが熱くなった頭では何も考えられない。

「ぁ俺‥おれぇ、はぁ‥イ、きたいぃ‥」

このあともまだ会社で仕事が残っているのからと、うわついた理性で必死に欲を押さえ込むと滲んだ涙を拭う。
それから立ち上がると、恐怖で僅かに震える足を無理矢理動かして仕事場へ戻ったのだ。



   *
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