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□TIME IS OVER
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デスクから頬杖をついて周りを見渡す。
誰がつるのなのかまるで全く見当がつかなかった。
定時を過ぎたせいか、多くの社員は席を空にしている。
もしかして帰ったんじゃ、と思って近くのデスクで未だにパソコンと向き合っている社員に話掛けた。

「ねぇちょっと良い?つるのさんってもう帰ったかな。」

「つるのさん、ですか?えーっと‥あ、まだですね。あそこの席に座ってるのがそうですよ。」

山積みの本に囲まれた中で立てった髪が揺れていた。
教えてくれた社員に、にっこりと礼を言うとスッと真顔に戻し、つるのに向かうのかと思えば再び自分のデスクに着いた。

「(ふーん。あの人だったのか‥)」

しばらく考え事をしていたが、兎に角先に仕事を終わらそうと自分もパソコンを立ち上げた。
つるのが帰らないように見張りながら。



「それではお先に失礼しますね。副編集長。」

それから随分と時間が経ち、ちらほら居た社員も今声を掛けてくれた人で最後だった。

「はーい。お疲れ。」

最後という言い方は変だが、必要ない人間は彼で最後だったという意味では間違っていない。
笑顔でひらひら手を振ると、閉まる扉を見届け一息吐いた。


「やーっと二人っきりになれましたね‥つるのさん。」

デスク五つ分程離れたところから、ぴくりとも動かない髪が静かに頷く様に揺れたのが見えた。

「どの面さげて、そこにずっと座ってたの?ねぇ、ちょっと‥こっち来てもらえる?」
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