◆鋼◆

□ポイズンバレンタイン
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今日はバレンタインデー。東方司令部執務室には例年通り、チョコレートが大量に入った段ボール箱が積まれている。そんな中、昼食もとらずに私は書類の山と必死に格闘していた。書類の提出締切りは今日の午後3時。それまでに仕上げないと今日こそ優秀な副官によって私の体に穴が空けられるかもしれない…。うっかり想像して青ざめていると、突然執務室のドアが開いた。中尉が来たのかと思い過剰反応してしまったが、現れたのは珍しく機嫌が良さそうな鋼のだった。彼は真っ直ぐに私の元へやってくると、ニコニコ笑いながら言った。


「なぁ大佐ぁ、いいことしよ?」
「いいこと?…どうせくだらん遊びでも思い付いたんだろ?私は忙しいんだ。子供は外で遊んできなさい」
「やだ!!大佐とするもん!!」
「するもんって君ねぇ…たのむから我儘言わないでくれ…中尉が戻って来る前にこの書類の山を片付けないと私は中尉に殺されるかもしれな……は、鋼の!?」
「大佐はそのままで良いよ。オレが脱がせてあげるから」
「Σ!?…脱がっ」


なんと彼は私の前に膝を突くと、私のズボンのファスナーを下ろし始めた。いつもは私に極力近付こうとしないのに何で今日に限って大サービスなんだ!?今の私には書類が、書類があるのに…!!あぁでも体が反応してきて……

「エド!!」

声と同時に執務室のドアが再び勢いよく開けられた。

「ハボック!!?」
こんなところを見られてはシャレにならん!!私は頭の中で必死に弁解を考えた。

「ち、違うんだ!コレはその…」

「すみません大佐!!コイツ今酔ってるんですよ!」
「は…?酔ってる?」
「ハイ。コイツ酔うと脱がせ魔になるらしくって…」



「…お前が飲ませたのか?」
「や…ていうか、コイツがうっかりアルコール入りのチョコ食っちゃって」


「チョコ…?」


「少尉はあっち行っててよ!!オレ今から大佐とするんだから!!」
「Σ鋼の!!?」
「ほら!お前がそんなこと言うから大佐が困ってるだろ!!オレが悪かったから一緒に戻ろう?な?」
「やだ!!」
「エド!!」



「……ハボック…お前この子に一体何をしたんだね…?」
「なっ何って……」


「少尉ね、オレのこと好きって言ったくせに他の人からチョコ貰って喜んでたんだよ!!オレのこと弄んでたんだ!!ひどい!!」
「だからアレは全部義理チョコだって!!」
「オレが本命なら証明してって言ったのにナニもしてくれないし!!」
「そんなこと急に言われてもだな…」
「オレは少尉にとって性欲処理の道具でしかなかったんだっ!!うわ〜ん!!」
「っな、泣くなよ、もう!!」
「性欲処理……?君達の関係はそこまで進んでいるのかね?」
「げっ、いや…あの、これは……」
「……ひっく…、もういい…少尉と別れて大佐と付き合う!!」
「ちょっと待て!!何でそこで大佐が出てくるんだ!?」
「えっと………。大佐の方がエッチうまそうだから?」
「……はぁ!?お前こそオレのこと性欲処理の相手としか見てないんじゃないだろうな!?」
「少尉と一緒にすんなよ!!オレは少尉のことちゃんと好きだもん!!」
「…エド………」
「鋼の…君はハボックのことが好きなのに私としようとしていたのかね?」
「あっ……」
「そんなことされたら私もハボックも傷ついてしまうよ…?」
「……ご、ごめんなさい…」
「酔ってる時の君は素直だねぇ。…ハボック!」
「は、はい!!」
「さっさと連れていきたまえ。私は忙しいんだ」
「すみません!!ほら、行くぞエド!!」
「…う、うん」
「ホントすみませんでした、大佐」
「ああ、後で覚えておきたまえ」
「…え?何スか?よく聞こえませんでした」
「いや、聞こえなかったなら良い。さっさと行きなさい」
「はっ、失礼しました」
『バタン』




「ごめんね、少尉…」
「もういいよ。エドが嫉妬してくれて嬉しかったし…。でも、あんまり大佐に近付くんじゃねーぞ」「何で?」
「あの人、人の彼女とるのが趣味だからな。お前は絶対渡さないけど」
「うん…でも心配しなくてもオレは少尉一筋だよ」
「っ…///そんな可愛いこと言うなよ…我慢出来なくなるだろっ」
「少尉…///」


「丸聞こえなんだよ、お前達の声は…(怒)本当に後で覚えておけよ、ハボック…」






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