◆鋼◆

□連鎖@
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ここは東方司令部執務室。
エドワードが執務室へ報告書を持って来てからずっと、ロイが難しい顔をしてこちらを見ている。


「……オレの顔になんかついてる?」
「顔色が悪いが大丈夫かね?」
「はぁ?別に普通だけど」

眉をひそめるとロイはため息をついた。

「大方昨日も夜更かしして文献を読んでいたのだろう?仮眠室で少し休んでいきたまえ。」
「大丈夫だって言ってんだろ!!俺、もう次の町行くから!じゃあな!」
「命令だ。休んでいきなさい」
「やだ!」
「そうか…ならば仕方ない」
「分かればいいんだよってオイ!?」


不意にロイに抱えられ、エドワードの体が宙に浮いた。


「中尉、少し出て来る」
「わかりました。ただし一緒に仮眠室で寝たりしないで下さいよ。大佐にはまだ仕事が残っているんですから」
「ハハ…分かっているよ」



エドワードを無理やりベットに寝かせたロイは、椅子を隣りに持って来て腰掛けた。


「アンタ仕事戻んねぇの?」
「私が出て行ったら誰かさんはそのまま逃げてしまいそうだからね。眠るまで側にいるよ。」

優しい声で言われると、何故か居心地が悪くなってエドワードはベッドの上でロイに背中を向けてしまう。

「眠くない」
「そうか。では子守歌でも歌ってやろう」
「いや、マジで止めてくれ…」




しばらくすると疲れがたまっていたのが、エドワードはうとうとし始めた。
しかし気掛かりがあるのか素直に睡魔に身をまかせようとしない。


「…大…佐、アルが…オレのこと待ってる…」
「それなら中尉が連絡したから心配いらないよ。」
「本当…?」
「ああ。有能な部下がいると助かるよ」
「アンタ…無能だもんな…」
「…雨の日だけな」
「ん…」



それからエドワードからの返事が返ってこなくなり、代わりに規則正しい呼吸音が聞こえた。


「おやすみ、鋼の」


静かに仮眠室の扉が閉められた。






あれから1時間くらい経っただろうか。近くに人の気配を感じエドワードは目を覚ました。


「……何してんのアンタ…?」
「やぁ鋼の。気分はどうだ?」


目の前の男に両手を掴まれベットに押しつけられる。
覚醒しきってない体で抵抗する暇がなかった。


「…アンタがきたせいで最悪の気分だよ。ていうか毎度寝込み襲いに来んなよ、エンヴィー」
「……あ〜あ。なぁんだ、もうバレちゃったのか」
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