たまわりもの。
□everlasting love/月影来夢様
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(ティア!!…ティアっ!!)
自分の頬が濡れていることに気づく。
はらはらと涙を流しながら、それでもなお耳元で何度彼女の名前を叫んでも届かなくて。
「…ルーク?」
…たった一度だけ声が届いたのか、ティアが振り返る。
しかし彼女が見た光景は、がらんとした空虚な空間だけ。
「ルークがここにいるはずない、か…」
悲しそうに目を伏せるティアを見て、俺は密かに決意した。
…いつか、必ず。
そう、いつか必ず、戻ってくると。そして、今。
遥か向こうには懐かしい仲間の姿。
泣きそうになるのをぐっと堪え、咲き誇り、光り輝くセレニアの花の中、ゆっくりと歩き出す。
僅かに風があるのか。
俺の髪を持ち上げ、さわさわと優しげな葉擦れの音を奏でる。
ずっと前を行く彼女が、気配に気づいたのか立ち止まり、振り返る。
「…ここからなら、ホドが見渡せる」
目が大きく見開かれる。それは誰のだったか。
ティアか、かつての仲間たちか、はたまた俺か。
「…それに、約束したから」
…もう、言葉はいらない。
走り寄るティアの手を引き、きつく抱き締め。
そしてもう二度と。
泣かせはしない。
離しは、しない−−−。
END