「甘ェ野郎だ。お前はどう思う」



そう低く荒垣に問われ、守護はちらとソファに腰掛ける順平へと視線を動かした後、ぽつりと答えた。

「順平は、甘いと思います」
「だな」

ふん、と鼻白む荒垣に対し、でも。と守護は続ける。




「でも、それでいいんだと思います。」



その横顔は、相変わらず無表情に近いものだったのだが、けして冷たい印象はうけなかった。
荒垣は沈黙を守ったが、それは紡げる言葉がなかったからかもしれない。
なおも、守護は続けた。




「俺には、できないことですから」




俺にもできねぇよ、と荒垣は呆れたように呟いた。

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