「テメェはああいうのが好みだったのか、アキ」
皮肉気に歪められた唇は、それでも随分と愉快そうで。
真田明彦はかちんときたが、それでも同じように鼻で笑ってやることはできたらしい。
「シンジの好みは変わらないな。随分保護欲をくすぐられてるじゃないか」
カウンターで右ストレート。
見事図星をついたのか、相対した荒垣真次郎はその凶悪な顔をますますしかめて極悪な顔になっている。
「「――――――」」
両者しばしの睨み合い。
しかし幼なじみの成せる技か、同時に呆れたように苦笑した。
「まぁ、アイツはそういう奴だがな」
「だな。しかしあのどっか抜けてる性格は何とかならねぇのか」
「それもアイツだ。許容してやれ」
くつくつと荒垣が笑って、並んで歩く。
ああ、昔みたいじゃないかと真田がまた笑って。
ふたりを繋いだ痩躯の後輩を想って、二人はまた、笑った。
離れていた時が嘘のように自然と並びあい笑いあえた。
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つゆりさんにお見舞いした品!愛だけが無駄に空回ってますが我が家は荒垣率が高すぎて笑えますね