Silver Sorcerer
□出会い
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満月の夜の翌日、一行は次の街に向けて出立していた。
首都セオドルからだいぶ離れてきたことにより、街道の整備がされていないところが徐々に増えてきた。
拳ほどの石をひきつめて平らにしている道のところどころに雑草が生えていたり、陥没しているところがある。
だが、一行はそのことを気にするより、もっと他の事に気をまわしていた。
「イヴンさん、見てください。
黄色い鳥さんです!
かわいらしいですね♪」
淡いオレンジ色のワンピースを着込んだテオティが、前方の空を指差しながら隣にいるイヴンに声をかける。
彼もそれに答える。
「えぇ、綺麗な鳥ですね。
ここに呼んでみましょうか?」
「まぁ!どのようにですか♪」
テオティがわくわくした瞳をむけてきたので、イヴンはニコっと笑って繋いでいた手を解き、人差し指を上に立ててくるっと回した。
すると、その人差し指の周りに一瞬白い魔法陣が現れ、ふわっと風が吹いてから、鳥が旋回してイヴンの腕にとまった。
その鳥は、手のひらサイズの大きさでしかない。
「イヴンさんすごいです!
鳥さんも、近くで見るとますます可愛いです♪」
彼女はそう言って、鳥の背中を指で撫でた。
「喜んでいただけて、なによりです」
「ありがとうございます。イヴンさん♪」
二人はまた手を繋いで歩き出した。