Silver Sorcerer
□宿命の再会
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天高く上った太陽。白い雪が積もった道。子供達の駆け回る足音に声。
花も日光を浴びて、綺麗に咲いた頃…イヴンはもぞもぞとベッドの上で仰向けからうつ伏せになり、うめき声を上げた。
「…うー…」
どうやら、昨日のハードな雪遊びが原因で、筋肉痛になったらしい。体を反転させた左腕が痛い。
まだ働かない脳で、『カマクラなんて片腕で作るもんじゃないなー。でも、皆喜んでたなー』などと考えながらカーテンに目を走らせる。
カーテンから日の光が微かに入り込んでいるため、イヴンは朝が来た事に気が付き、ベッドサイドに置いていた懐中時計に手を伸ばして、時間を確認した。
直後、飛び起きることになるとも知らずに。
「…なーんじだ」
パカッ…
「じゅ、11時ぃぃぃぃい!?」
今日は、どうも体内時計が止まっていたらしい。8時出発の予定であったため、これは完全に寝坊である。
イヴンは『まずい!まずい!』と言いながら、洗顔後、昨晩の内に用意しておいた衣服に着替えてから、これまた昨晩の内に用意しておいた鞄を持って部屋を飛び出した。
常日頃、準備万端で行動しているおかげで、ものの5分で部屋を出ることが出来た…が、特にいらない苦労だった。
部屋の扉を開けた途端、目に入ってきたのは、テオティの特大スマイル。と、後ろにゼノン。
「まぁ!おはようございます♪」
「お、おはよう…ございます…。
あ、いえ、その、寝坊してしまい、申し訳ありません!!」
一瞬、平和すぎて普通に挨拶してしまったが、慌てふためいて謝罪する。
しかし、テオティはにこにこしたまま、イヴンの持っていた鞄を持って、よたよたしながらイヴンの部屋へと入っていく。
ゼノンが代わりに鞄を受け取って部屋の奥に置くと、テオティがブラシを持ってきて、イヴンに手渡してきた。