Silver Sorcerer

□最強の魔法使い
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イヴンとは違い、無傷で悪魔の城に戻ってきたアンシャンだったが、なぜか城に着いて早々寝込んでいた。
実は、元は悪魔化が不適合だったアンシャン。
行動の許された10分間だけイヴンと会っていたのだが、常日頃、魔法で体調維持をしているため、魔法の使い過ぎでイヴンと同じく寝込むこととなった次第である。

アンシャンが完全に動けるようになるまでに決着をつけたいものだが、イヴンが目覚めたのは、それから三日後のことであった。

ふかふかなベッドの上で目を覚ましたイヴンは、見知らぬ人物がベッドの傍らに立っていることに気づき、視線を向ける。
そこには、エルフの象徴である金色の髪に、縦に尖った耳、青い瞳をもった少年であった。
エルフという一族は、年齢に関係なく、見かけ年齢を操ることが出来るため、少年とは限らない。
少年の落ち着いた態度や大人びた表情から見ると、200歳は超えていることが予想される上に、片方の瞳がイヴンと同じ紫であることが不思議な雰囲気を醸し出していた。
白衣を着ているそのエルフは視線に気がつくと、現状を把握出来ていないイヴンに、三日間寝込んでいたことや、皆が無事なこと、そしてアンシャンとの戦いで負傷した左腕を治してくれたことを教えてくれた。
そして、簡単な自己紹介と忠告を残して部屋を出ようとする。

「俺は、王室付きドクターのダウトだ。
怪我や病気をしたらいつでも呼ぶといい。
…が、俺も忙しいから無茶はほどほどにしろ。以上だ。失礼する。」

やさしいのかどうなのか…。
それよりも、瞳の色がエルフの青と、魔法貴族の紫でハーフであることが歴然のエルフがなぜ、辺境の地にいるのではなく、王家に仕えているのか。
普通の人なら疑問に思うところだが、まだ意識の定まっていないイヴンはそのことを考える余裕はなく、ダウトはさっさと黒いケースを持って部屋を出て行った。

その直後、入れ替わるように平民の男女二人が慌てて部屋に入ってきたことで頭がすっきりはれた。
つまり、いきなりのハイテンションに驚いた。
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