REVENANT

□轗軻不遇
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おかしい――
思考に霞掛ったようにボンヤリとして、時折意識が翔ぶような、そんな感覚に襲われる。
国1つ落としたあの時から、不意にそんな不快感に苛なまれて眉を寄せていた。

「神無は大丈夫なのか?」
「そう言われても……」

額を押さえてうつ向く神無の姿を見てギルヴェールがスティーナに問う。
だが軆には異常ないようで、スティーナも返答に窮した。
よく見ると押さえる額には汗がうっすらと浮かび上がっていて、不規則に上下する肩からもとても健康そのものとは言い難い姿だ。

「聞いても何処が悪いか言ってくれないし……」

スティーナは言葉を切って溜め息を吐く仕草をした。勿論吐息など出ないのだが。
そうして神無の様子を伺っていると後方で扉が開くのを感じた。
霊獸の二人が振り向くと、追って神無が気だるそうに後方を見遣る。
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