魔法
□もしという言葉と
1ページ/1ページ
もし、このまま僕がこの世界から姿を消したとする。
その時君は気づいてくれるだろうか。
悲しんでくれるだろうか。
僕の名前を呼んでくれるのだろうか。
もしくは、僕が消え去ったことさえ知らずに、平穏な日々を過ごしていくのだろうか。
もし、僕が僕ではない他の誰かだとする。
そうなら君を悲しませる事はなかったのに。
君が僕を庇う必要なんてなくなるはずなのに。
僕が僕以外の誰かになれるわけがないのは、変わりのない事実で、まだこの世界から姿を消し去る勇気のない僕は、仕方なく僕を生きるしかないのだけれど。
両親の愛を知らない僕には君の笑顔が全てで、分かりもしない愛を信じてみようと思った事も紛れもない事実だ。
ねぇ、お願いだから僕を見て。
笑顔を僕に、
あんなにも近くにいたはずの君が、今ではこんなにも遠い。
もし僕がしたことが、許されるのならば、もう一度、ただもう一度君の瞳に僕を映してはくれないだろうか。
女々しすぎる雨に打たれて、