魔法

□もしという言葉と
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もし、このまま僕がこの世界から姿を消したとする。


その時君は気づいてくれるだろうか。


悲しんでくれるだろうか。


僕の名前を呼んでくれるのだろうか。


もしくは、僕が消え去ったことさえ知らずに、平穏な日々を過ごしていくのだろうか。




もし、僕が僕ではない他の誰かだとする。


そうなら君を悲しませる事はなかったのに。


君が僕を庇う必要なんてなくなるはずなのに。


僕が僕以外の誰かになれるわけがないのは、変わりのない事実で、まだこの世界から姿を消し去る勇気のない僕は、仕方なく僕を生きるしかないのだけれど。


両親の愛を知らない僕には君の笑顔が全てで、分かりもしない愛を信じてみようと思った事も紛れもない事実だ。










ねぇ、お願いだから僕を見て。

笑顔を僕に、







あんなにも近くにいたはずの君が、今ではこんなにも遠い。







もし僕がしたことが、許されるのならば、もう一度、ただもう一度君の瞳に僕を映してはくれないだろうか。












女々しすぎる雨に打たれて、

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