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□乾いた涙
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パンッ、

乾いた音が響き、あたりが一斉に静まり返った
視線は一点に集まり、その先には涙を浮かべ、唇を堅く結んだ女が一人
向かい側に居る男は右頬を赤くし、眼を見開き佇んでいる
隣には男の腕に自らの腕を絡ませ、男と同様に眼を見開く女


「…最低」


小さいが確かに冷たく言い放たれた言葉に、更に眼を見開く
それと同時に女の瞳からは一粒、水滴が落ちた


「ちがっ…!」


違う、これは違うんだと、瞳が確実に潤んだ女に手をのばすも、簡単に振り払われる


「銀時、さよなら」


くるり、と後ろを向き、後ろから聞こえる声も無視して歩き始めた



裏切りの乾いた涙は
(好きだったのは、)
(私だけだったんだね)

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