お話し置き場

□うさぎとくま
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広い広い森の中、大きな木の、小さな穴に住む、心の優しいうさぎのお話し…。

いつも遊ぶ友達は、皆くまを恐れていました。
けれど、うさぎは知っているのです。くまは本当は優しいという事を。
何日か前の事、うさぎが草を食べていると、後ろの方から穴を掘る音がしました。
もぐらさんかな?
挨拶をしようと、のぞいてみると、大きなくまが泣きながら何かを埋めています。
その姿は、話に聞く、恐ろしいくまには見えません。
うさぎは、勇気を出して、話しかけました。

「どぅして泣いているの?」
くまは、ビクッとして、うさぎから少し離れました。
うさぎが近付くと、
『こっちにこないで!』
くまは何かに怯えているよぅです…
「ふ・う・せ・んのお墓?」
くまが埋めていたのは、風船…。
くまは泣きながら話しました。
『とっても大事にしていたのに…。僕の手には爪があるから…。』
くまは、うさぎを傷つけてしまう事を恐れていたのです。
うさぎは、くまを可哀想に思いました…。
「くまさん、泣かないで?そうだ!僕と友達になろう?」
くまは首を横に振りました。
『もぅ、何も傷つけたくないんです…。』
うさぎはくまの鋭い爪を見て、一瞬ドキッとしましたが、悲しい顔のくまを、笑顔にしてあげたいと、思いました。
「くまさん、僕に触ってごらん?」
うさぎはくまの足下にちょこんと座りました。
くまは慌てて、離れようとします。
「待って、逃げないで!」
…くまは、うさぎの顔をのぞきこみました。
『僕が、…怖くないの?』
うさぎは、くまをじっと見つめて、言いました。
「爪があっても、牙があっても、僕は君なんてちっとも怖くないょ?」
くまは、複雑な表情でうさぎの話を聞きました。
「爪があるなら隠せばいい、そっと、優しくしてごらん?」

『だけど…僕はくまだから…強くないといけない気がして…。』
うさぎはきょとんとしました。
くまが、くまなのに、くまらしくしようとしているなんて!聞いた事もありませんでした。
『僕はくまだから…。』
うさぎはなんだかおかしくなって、笑いました。
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