君がいるだけで(Main)

□ゆずれない願い〜一護SIDE
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ようやく。
最後の教科、古典。
俺の一番苦手な。

でも今回は手応えありの。
古典。

井上センセイに教えてもらった成果が、
手に取る様にわかる。

いつもの古典のテストだと、
もうわからなすぎて、
飛ばして飛ばして時間が余りまくる。
でも今日は・・・・。


(お、これ、井上のノートに書いてあったな。)


小奇麗にまとめてあった、
ノートの端っこに。
・・・・・・・・ドン観音寺の似顔絵の吹き出しに囲まれていた、
古語の表現方・・・。

忘れられねぇ・・・・・似顔絵似てなさ過ぎて。
いや、一生忘れられねぇ、あの古語表現。


教室に響くのはシャーペンのカリカリと言う音と、
教員が歩いて回る靴音のみ。

残り時間10分。


俺の答案用紙は、
いつもと違ってほぼ埋まっている。

安堵のため息、
テストからの開放。

このあと待つのは少しの授業と球技大会。
その後は、(啓吾が)待ちに待った冬休みだ。

ふいに窓の外を見る。
いや、カンニングじゃねぇ。
俺の席は窓側だし。

校庭には枯れた木々。
時折吹く木枯らしに舞う枯れ葉。

天気晴れ。
カラッカラに乾ききった冬。


・・・・・・・・一瞬。
火事でも起きてるのかと思ったくらい。


紅く染まる空。



その先には、いつもと違う虚の気配があった。
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