君がいるだけで(Main)
□今を抱きしめて
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キャシャーーーーー!!!
けたたましい虚の叫びが、
俺達の耳を劈(つんざ)く。
尖った爪を鈍く光らせて、
その長い腕を振り下ろす。
その先にいるのは・・・・チャド。
しかしチャドはそこを動こうとはしない。
両の腕を前に出してガード体勢を整え、
来るであろう衝撃に備えて気合を入れる。
「−−っっふっんっっ!!!」
ガシィーーンッ!!
人間にぶつかったとは思えない衝撃音。
思わず回りに居た俺達・・俺、井上、石田は、
そっちの音のした方へと顔を向けた。
チャドの奴、虚に1人で向かって行ったから気になったんだけど・・・。
「おいチャド!!大丈夫か?」
そんな訳無いのに、
俺もお決まりのセリフなんぞを吐いてみる。
「・・む、問題ない。」
親指を立てたチャドは・・・、
あぁあ・・・・血だらけだ。
いつも通りと言うか何と言うか。
とにかく早く自分の虚を倒して、
チャドの方に向かわないと。
ずらり
俺は自分の斬魄刀を抜いて、
2体いる内の1体と対峙した。
「石田!!こっちは何とかすっから、チャドの方頼む!!」
「わかった。」
石田がチャドの方へ向かうのを横目で追っている矢先。
ウゴォォォーーーー!!!
俺の目の前にいる虚が俺目掛けて、
鞭のような硬質の尻尾を振り下ろした。
「私は拒絶するっっ!!!」
目の前に三角を模した、
薄紅の盾が出現した。