君がいるだけで(Main)

□元気をだして
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ざわめく昇降口。
交わされる朝の挨拶。


俺の欠伸は、
その音にかき消されて・・・今日が始まる。



「い〜〜〜〜ち〜〜〜〜〜ご〜〜〜〜〜〜!!」


・・・・・うるせぇ・・・。

聞きなれた声が近づいてくる・・・奴だ・・・。
カバンを持ってない方の腕を真っ直ぐ横に伸ばして、
このまま体勢を保っておけば。


「ふごへっっ!!!!」


俺のラリアットが啓吾に決まる。
ってか、
コイツが勝手に俺の伸ばした腕に突っ込んで来たって方が正しい。


きっとコイツはボケたいんだ。
そうだ。
そうに決まってる。


「朝からうっせぇな・・・何だよ。」



そわそわしてるのは何時もの事だけど、
今日はそれにプラスして興奮してやがる。
それはもう盛りのついた猫の如く。

うっとうしいったらありゃしねぇ・・・。


「啓吾は落ち着かないんだよね〜。」


俺のラリアットが決まってぶっ倒れてる啓吾の後ろから、
水色が来た・・・・・。


「ふぎゅるっ!!」


・・・・・啓吾を踏んづけて。


「浅野さん・・・・このままだと本当に備品になりますよ。」
「い〜〜〜〜〜〜や〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」


・・・・啓吾って・・ホントにコンに似てるよな・・・。
朝からの俺のため息は重い。


学校でも家でも、
こんな奴に振り回されてる俺っていったい。





「姉さんに会いたい〜〜井上さんの胸に飛び込みたい〜〜。」


毎朝毎夜繰り返されるコンの嘆き・・・・却下に決まってんだろうがっ。
特に2番目のは何なんだ!!!


・・・とまぁこんな具合で。


はぁ〜・・・・ため息が出る。


「で、啓吾は何に興奮してやがるんだよ。」


水色の足の下でドタバタもがいてる啓吾を他所に、
俺は水色に尋ねた。


「明日バレンタインでしょ。だからチョコが気になってしょうがないんだよ。」


・・・・ばれんたいん・・・・・て。


今日は2/13。
そっか・・明日14日。
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