君がいるだけで(Main)
□ゆずれない願い〜再び一護SIDE
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「遅いよ〜黒崎くん。」
とてとて・・・と、
井上が俺の方へと向かって小走りに・・・・。
「お・・おぃ、走るな、いのう・・・・。」
べしゃっ
・・・・・いやぁ、
期待を裏切らねぇ奴ですよ、井上さん。
井上は、
見事に自分の足に引っかかって転んだ。
「いったぁ〜・・鼻打った・・・。」
俺は、
その場にしゃがみこんでいる井上に手を差し伸べる。
これは・・・不自然じゃねぇよな。
普通に接してるよな。
ただ・・・・。
俺の心臓がドキドキしてる、
それだけだ。
きょとんとした顔をした井上が、
くしゃっと破顔させて、
「えへへっ・・・ありがとう。」
俺の手を取った。
「まったく・・おっちょこちょいなの自分でわかってんだろ?少しは気を付けろって。」
こんな可愛くない俺のセリフにも、
「はぁい、気を付けまぁす。」
と、にっこり笑って返してくる。
井上に触れられた右手だけが。
今この屋上の中の誰より・・・何よりも熱を帯びているに違いない。