LOVE

□『betterhalf』
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betterhalf。



幼い日に初めて耳にした言葉。
それは不思議な響きで意味が分かりませんでした。




『より良い半分』




直訳すればそういった意味でしかなく、臆面も無く人生の伴侶をそう呼称する欧米の方々が理解できませんでした。



人生は祖父が決めたレールに沿って進んでゆくものだと思っていた日々の中で、人生を分かち合い、心寄せる人間など現れる訳が無いと‥‥‥‥‥‥



祖父の意向で結婚をし連れ添う相手を『betterhalf』と呼べるなんて思ってもいませんでした。



書類と向き合い、データを処理し、グループ拡大や安定を目指した結婚で人生を終えるものだと思っていました。



つまらない退屈な日々。



心動かされることもなく無感動に流されるままに過ぎてゆくのだと‥‥‥‥‥‥幼心に諦観していました。



滝島グループの未来を背負うものとして生まれた義務を果たすなら、それでが宿命であり当然の責務で、それで構わないと思っていました。





─────────彼女に出会うまでは。
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