苦々しい妄想。
□お大事に。
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仁王君が私を呼ぶ。
穏やかに微笑んで。
私と付き合い始めてから、彼は随分と変わった。
以前は、こんな笑い方絶対にしなかったのに。
こんな人、私は知らない。
彼はもう、私に詐欺をみせてはくれないのだろうか。
残酷な嘘を与えてはくれないのだろうか。
砂糖漬されたスミレのような真実の愛しか、囁いてくれないのだろうか。
違う。
違う。
私が望んだのは、望んでいたのは。
こんな顔で笑う彼でない。
こんな反吐の出るような幸せではない。
私の愛した彼は、もう何処にもいない。
end
初出 20070430 web拍手お礼にて。
20070605 妄想へ移動。