恥知らずな妄想。

□誕生日とところてんと君と。
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身体中が痛い。とくに下半身。
何度も乱暴に突き上げるものだから腰が震える。避妊具がきれているからと言ってそのままするものだからお腹も調子が悪い。
最悪です。なんで、こんな日に限って、こんな思いをしなければならないのでしょうか。


今日は10月19日。私の14回目の誕生日。
そして昨日の帰り道、仁王君が言った。
「一番におめでとうっち言いたいけん、今日はうちに泊まっていきんしゃい」
その言葉が嬉しくて、私は二つ返事で彼の家に泊まった。
早く彼から祝福されたい。私はとても幸福だった。彼の家に着くまでは。
部屋に入るなり、彼は私を求めてきた。そのようなことは何時もの事だったので私も特に抵抗せず、彼を受け入れる。
だが、昨日のsexはどこか変だった。
何時もならしつこいほどに性器を弄り、愛撫するのに、昨日は一度も触ってくれなかった。
そのかわり、後ろの窪みを厭というほどに弄られた。ジェルでとろとろに解された後、指を三本も突き入れられ、激しく動かされれば、私の喘ぎ声が響く。
快感のポイント(俗に前立腺と言うのでしょうか。以前行為の時に仁王君が言っていました)を探るように指を奥へ進めたり入り口を触ったり。
はっきり言って、全然気持ちよくなかった。快感を与えられなかったわけではない。
でも、昨日の行為は愛を確かめるものではなかった。少なくとも私にとっては。
何か違う方向に熱意を向けている彼が酷くじれったく、遠くに感じた。
結局私は一度もイけないまま、その日の行為は終わってしまったのです。
まあ、それだけなら良いのです。まだ許容範囲です。
最悪なのは、仁王君が先に寝てしまったこと。
私に、祝福の言葉も囁かずに。11時過ぎに倒れこむように眠りについてしまったのです。
私は虚しく独りで0時を向かえ、独りで眠りにつきました。彼をベッドから追い出して。



「柳生、なして先に行ってしまんじゃー」
後ろから仁王君が追いかけてくる。私はそれを無視し、歩調を少し速めた。
「柳生ー。一緒に登校しようぜよー」
駆け寄り、私の背中に仁王君が抱きつく。彼の体重と引力に負け、私は尻餅をついた。
「・・・なにするんですか。離したまえ」
「柳生、怒らんといて。ごめん。俺が悪かった」
私を抱きしめる仁王君の腕の力が強くなる。私はそれを押し返した。
「・・・別に、怒っていませんよ」
「じゃあ、拗ねてるんかのう」
仁王君は揶揄するように笑う。

ぶちり。


私の中で何かが切れた音がした。
私は無理やり立ち上がり、仁王君を蹴り上げた。(紳士のする行為ではないですが、今日は特別です)
仁王君はあんぐりと口を開け、間抜けな顔で私を見上げている。
「・・・先、行きますから。遅れると、真田君に怒られてしまいます」
そう言い残し私は脱兎のごとくその場を逃げ出した。彼を蹴った右足が痛い。



結局、その日の朝練に仁王君は現れなかった。真田君は酷く立腹した様子だったが、私はフォローもせずにさっさと部室を後にした。柳君が何か言いたそうだったけど、それも知らないふりをする。

仁王君とクラスが違ってよかった。
彼の姿が見えない間だけ、私は冷静を装うことができる。
つまらない授業。当たり前のことを何度もしつこく怒鳴る教師。そんなことよりも、もっと将来役に立つことを学びたい。
欠伸を噛殺し、私は窓の外を見た。グラウンドで体育の授業が繰り広げられている。短距離のタイムを測っているようだ。
あ。
私の視界に、体操服姿の仁王君が入ってきた。
厭だな。なんで。
結局、私は仁王君のことが気になるのだ。だから、何処に居たって見つけてしまう。こんな自分が今日はとても苛立たしい。
でも、風をきって走る姿は、とても格好良いと思う。それに恐ろしく速い。多分、クラスで一番のタイムではないのだろうか。しかし、彼はこんなこと何ともないと言った風にすました顔をしているのだろう。
自然に笑みが零れたが、すぐに顔を引き締める。
私は、怒っているのですから。散々玩ばれた揚句、約束も破られ。これで怒らない人間がいるのでしたら、お目にかかりたいものです!
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