11/26の日記

23:12
何も残らない/烏鷹
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‘鷹は飛ぶんじゃ’

あいつはいつも言っていた。
なのに、今はこんなに小さな石の下に骨となって埋まっている。

「…甲子園、行くんじゃなかったの?」

‘次は負けんぞ烏丸!!’

「俺に、勝つんじゃなかったの?」

烏丸の、普段あまり変わらない表情が、酷く歪む。

「鷹見、お前…野球好きなんだろ?」

ポツリ、ポツリ

雨が降り始める。

「甲子園行くんだろ?」

烏丸は、雨に濡れることも気にせず墓石に話かける。

「なに、死んでるんだよ…」

「死んだら、何も残らないじゃないか」

雨は徐々に勢いを増し烏丸と、鷹見の墓石にふりかかる。

「そっちに野球はあるのかよ……鷹見」

あるはずのない返事を、返ってくるはずのない声を、もう一度聞きだいと思う自分はバカだろうか。

考え、烏丸は首をふりその場を離れようとした。

『…すまんかった』

聞こえる筈がない声が聞こえたような気がして、烏丸はふりかえった。

「……たかみ?」

ふりかえって見ても、名前を呼んでみても、そこには墓石があるだけで……。

「…そんなわけないか」

烏丸は、今度こそその場を立ち去った。




まだ雨は降り続いている。


END
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烏丸くんキャラ違うー(ぁ
烏鷹すきです。

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