01/29の日記

22:43
鏡であるが故の代価/零僕
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零崎はただ、何も言わず、雨にうたれていた。

「………」

声をかけてはいけない気がして、これ以上、踏み込んではいけない気がして、僕はただ零崎を見つめた。

「兄貴がさ…死んだんだ」

淡々と言う零崎。

「たった一人の家族が死んだんだ」

俺が、一族の中で唯一家族だと思っていた人が。
そう言う零崎を無言で見つめる。

「おかしいよな、悲しいのに」

泣けない。
零崎はかははと笑った。

嗚呼

僕という鏡が居なければ
コイツは今頃泣けていたのに。


「ごめん零崎」

「いーたんが謝ってどうするんだ」

「ごめん」

僕は零崎に傘を渡そうとして、やめた。

零崎は、わざと雨にうたれているのだから。
余計な事をするべきではない。

「落ちついたら、来るといいよ」

僕はそう言って立ち去った。



泣けない殺人鬼は

雨にうたれ何を思うのか。

それは実に単純明解

‘空が俺のかわりに泣いている’

とでも思うしかないのだろう。


なんて

戯言

なんて

残酷

これが僕らが鏡で対である故の


代価



神は望んでもいないのに、僕らをつくり。

僕らに代価を払わせる。


END
+++++++
双識さん死後、零僕(?)
人識くんはへこむと思う。

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