10/19の日記

23:38
はっぴーでい/志人僕
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今日こそは、今日こそはと、毎回腹をくくっていーに会いに来ていたが、どうしても言えない。
好きだ、なんて気持ち悪がられるだろうか。いやいや、こんなことを考えるからいつも言えないんだ。
断られる事なんてわかってる。軽蔑されるかもしれないこともわかってる。それでも伝えたいから、無理矢理理由をつくって会いに来てるんだろ俺は。
しっかりしろ大垣志人、今日こそ男を見せてやるんだ。

「いー、話があるんだ」

真剣にいーを見つめれば、いーは首を傾げる。

「何かな?」

また失敗話か、志人ちゃん。ん?
ちゃかすように言ういーについカッとなる。

「ちげーよ!真面目な話!」

黙って聞け!
言うといーはやれやれと肩をすくめた。
うっ、呆れられただろうか。
だがまあ、そんなことを気にするよりも、こっ、告白が先だ先!

「その、あの、さ」
いーを見つめる。
いーは黙って話を聞いてくれている。
嫌われたらどうしよう。今までのように話せなくなったら、いつものように不安が頭をよぎる。
いや、駄目だ、今日こそは言うんだ(何度そう思ったかは数えたくない)。
俺は拳を握り、深呼吸をする。

何だかんだ真面目に話聞いてくれてたり、気づかないようなところを気づかせてくれたり、たまに優しく慰めてくれたり克を入れてくれたり(いや、あれはからかってるだけなのかもしれない)。
とにかく、わかりにくい優しさばかりくれる不器用ないーがすげぇ、す、好きなんだ。
抱きしめたいし、甘やかしたいし、その、キッ、キスだってそれ以上のことだっていーとならしたい(体の構造上無理かも、いや、男同士でもできるって誰かが言ってた気がする)。
嗚呼、いーの事すげぇ好きなんだなあ、俺。

「俺、いーのこと好きだ」

なんだ言えるじゃん。
改めて考えるとすんなり言えた。
達成感と返事を待つ恐怖でいーを見ると、真っ赤だった。めったに表情を崩さない、あのいーが真っ赤。
いや可愛いけども。

「い、いー?」

恐る恐る呼ぶといーは、あーとかうーとか言いながら、恥ずかしいと俯いてしまった。

「え、あの、いーさん?」

「あの、さ」

「ああ」

「志人くん、全部喋ってたよ?」

「…は?」

蚊の鳴く声のようにか細い、いーの声を聞き逃さないように耳をすましていた俺はいーに負けず劣らず真っ赤になる。カッコ悪いとか知らねえ。恥ずかしすぎだろ!!
つまり、つまり、いーに好きだと告げる前に考えてたこと全部…

「筒抜けだったと」

「うん」

「…死にたい」

俺はしゃがみこむ。
これじゃあ答えはノーだろう気持ち悪いんだろう聞きたくねぇ。

「死なれたらこまるな、僕はまだ返事をしていないのに」

「聞きたくねぇ」

「ちゃんと聞いてよ志人くん」

にっこり、とまではいかないがそれでも微笑んだいーに言われ俺は立ち上がりいーを見つめた。
嗚呼神様、どうか俺をこの場から消し去ってくれ。
そんな事を考えているといーが口を開く。

「簡潔に言うとね、志人くん」

ひゅっ、と俺は息を呑む。

「言うのが遅いんだよ馬鹿野郎」

「へ?」

俺は間抜けな声をあげる。
どういう意味だよ馬鹿野郎。

「何時まで待たせる気だったのかな?」

通算152回目でやっと言ってくれたね。
いーは笑って言った。
それって、それって。

「僕も好きだよ」

戯言抜きに、ね。

「っ!!」

俺はいーを思いっきり抱きしめた。

大垣志人、男見せました。
最高にカッコ悪い告白になったけど、後日からかわれるんだろうけど、今は幸せ噛みしめても良いよな?


END
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フリリクの志人僕です
志人くんが乙女(笑)
書いてて楽しかったですv
リクエストありがとうございました!

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