06/03の日記
00:14
弟、卒業します/萌僕
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このアパートに崩子と二人で来てから、子供二人なのを気にしてか、ちょくちょく様子を見に来てくれていたいー兄(もちろん、他の方も随分構いに来てくれました)。
そんないー兄と仲良くなってしばらくたってから、
「いー兄は、僕と崩子の兄のような人です。」
と、僕はとびきりの笑顔でいー兄に告げたのを覚えています。もちろん、普段あまり表情を変えないいー兄が笑顔でありがとう、と言ってくれたことも。
思えばあの日からかもしれません、僕はこんなにもあなたが好きです。
「いー兄、本当に大丈夫ですか?」
「…大丈夫だよ」
最近、疲れている様子だったいー兄が、今日は真っ青になって帰ってきた。
これは絶対に何かあったな。と確信して、いー兄の部屋まで押しかけたのだけれど、いー兄は大丈夫の一点張り。
「いー兄…」
「ごめん萌太君、本当に大丈夫だから」
いー兄も疲れている様子で、本当ならここで帰るべきなのだけど。
「帰りません。もう、いー兄の弟で居るのは嫌なんです」
弟なんて嫌だ。
心配させてほしい。
だって好きなんです。
ねえ、いー兄…
何で何も教えてくれないんですか。
こんな事言えるわけがないけれど、思うくらいは良いですよね?
「萌太君…弟で居るのは嫌って、それは、僕に構われるのが鬱陶しくてもう構ってくれるなと、遠回しに言っているのかい?だとしたらショックだな、いや、でも、ごめんね?そんなに嫌われて居るとは思わなかったんだ、もう構わないようにするね。…出会って少ししたころの萌太君の笑顔は忘れないよ」
困ったことにいー兄は、僕が少し考えていた間にぶっ飛んだ解釈をしてくれていた。
「僕が、いー兄を嫌うはずがないじゃないですか」
「そうかな?みんな僕を気味悪がって、嫌いになって離れていく、萌太くんもきっとそうなるよ」
いっそのこと、そうなってくれればいい。独りになればいい。どうせみんなそれを望んでいるのだから。
ポロッと、いー兄の口から漏れた言葉に僕は眉間に皺を寄せ、いー兄の手首を掴む。
「誰かにそう言われたんですか?」
そうなんですね?
僕がにっこり笑うと、いー兄は視線をそらして身じろいだ。
「痛いよ萌太くん」
「言って下さい。あなたにそんな酷い事を言ったのはだれですか?」
「っ………」
「僕には言えないんですか?」
「……言うも何も、所詮ただの戯言さ」
心配しすぎだよ。
すこし沈んでただけさ。
いー兄は、やっといつもの調子を取り戻ししたのか、はぐらかすように言った。
(違うでしょう?)
(あの人に言われたんでしょう?)(玖渚友に)
「ごめんね萌太くん」
(嗚呼、それは何に対しての謝罪ですか)
結局、僕は弟で、あなたは独りを貫こうとする。
でも、忘れないで下さい。
「少なくとも、骨董アパートの皆さんは、いー兄を必要としています」
あなたがいらないなんて誰も思っていない。
だから、ね?
そんなどうしようもない、それこそ彼女の戯言に踊らされずに、しっかり前を見て下さい。できれば笑って下さい。
「いー兄、好きですよ」
驚いた顔が見たくてキスを一つ。
(やっぱり、あなたに暗い表情は似合いません)(ね、笑って?)
今日で弟、卒業します。
END
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リクエスト企画の萌僕
珍しく、押せ押せな萌太くんと病みまくりいーたん
楽しかったです´`*
リクエストありがとうございました!
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