10/15の日記

19:55
悲しいときは泣けば良い/零→僕
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何故、どうして、何ていくら考えても無駄なことだ。起こってしまったことは事実で、変えようのないことなのだから。

沢山人が死んだ。
姫ちゃんや萌太くんも死んだ。
僕と関わった人たちが死んでいく。

僕と、関わったせいで…?

「いーたん?」

不意に声をかけられ、顔をあげると零崎が居た。
声を出すのが億劫で、何だよ、と目で訴える。
零崎は、そんな僕に笑いかけ隣へ座り呟いた。

「泣いてる気がしたから」

「な、にを」

反論しようと声をだすと、意外にもかすれた声がでて驚いた。

「何時間も、ずーっと下向いてるから、いっちょ俺が慰めてやろうかなと思ったんだけどよ…」

零崎は僕の頬に手を伸ばし、言葉を続けた。

「ほんとに泣いてんだから、びっくりだよ」

こんななら、もっと早く声かければよかったぜ。
そのまま、僕の頬と目元を自分の服の裾で拭い、零崎は僕を抱きしめた。

「泣いてる…僕が?」

抱きしめられたことなんかそっちのけで思考する。
何時間も下を向いて考えていたつもりはない。ましてや、泣いているつもりなんて…。
泣く資格なんて僕にはないのだから。

「おいおい、気付いてなかったのかよ…しっかりしろよ、いーたん」

「……泣いてなんかない」

「何言ってんだ、お前自分の顔見てみるか?酷い顔してるぞ?」

零崎は、少し口調を荒げた。

「そりゃあ、自分の身内が死んだら悲しいだろうよ、ましてや、目の前で死なれたら!俺も兄貴が死んだとき悲しかったよ!そりゃあ、職業柄あり得ないことじゃないからある程度の心構えはできてたけど。だけどお前は違うだろ?お前は、もとから人の生死にあまり関係ないところにいる人間だ。何を我慢してるんだよ!」

何を、言っているんだ。
違うだろ。何を知っていると言うんだ。

「違う…みんな僕に関わったから死んでいった。昔からそうだ、僕に関わった人間は、僕から離れていく」

そう、だからそうなる前に、みんなを遠ざけて居たはずなのに。いつの間にか、近くに居すぎてしまった。

「何言ってんだ!何だよ戯言遣い、お前はそんなもんか?!だいたい、お前に近付いたからって人が死んでたまるかよ!お前はただの人間だろ?たまたま重なった偶然をお前が思いこんでるだけに決まってるじゃねーか!傑作なこと抜かしてんじゃねー!しっかりしろよ馬鹿野郎!」

僕を抱きしめていた手をひっこめ、胸ぐらを掴み叫ぶ零崎に呆然とする。

「僕には泣く権利なんてない、とかぬかしやがったら殺して解して晒すぞ…」

低く唸るようにいって零崎は、僕ね胸ぐらを掴んでいた手を離した。

「お前は、泣いていいんだ」

そうして、かはは、と馬鹿みたいに笑って僕の頭をポンポンと叩いた。
同時に、暖かいものが頬につたった。

「いーたん、泣きたいときは声をあげて泣くもんだぜ」

ここには今、俺とお前しか居ない。誰も笑いやしない。
そういって零崎は、また僕を抱きしめ、あやすように背中を叩いた。

「っ…う」

この日、僕は
本当に久しぶりに声をあげてないた。
零崎はそんな僕につきっきりでただ黙ってそばにいた。
だいたいなんで、零崎が僕の居場所を知っていたのか、なんでわざわざ慰めてきたのか、まったくわからないけれど、なんで、なんて考えても仕方がない。
一つわかっていることは零崎に大きな借りを作ってしまったことだ。
ひとしきり泣いてから、零崎に礼を言って、抱きしめられていた腕を離してもらった時に一応、借りは返す。と言ったのだけれど、何やら微妙な笑顔で断られてしまった。
とりあえず、八つ橋でも、ご馳走しようと思う。

(それにしても)(抱きしめられて安心した、なんて戯言だ)



END
+++++++++++
はい。くっついてないんです。
零→僕なんです。
人識くんが不憫なんです!←
可哀想な人識くんと泣くいーたんがかきたかった^q^
時間軸的には萌太くんが死んだ直後くらい…かなあ。
ひっさびさに文書きました←

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