Love Letter

□Love Letter(第一話)
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第一話 家族
十五年前、二人と出会った日に思い出すのは、お母さんから言われたこの言葉。
『乃亜、この子が今日から乃亜のお兄ちゃんになる、和樹くんと弟になる、和哉くんよ』
あの時は、本当に嬉しかった。
お母さんと私、二人しかいなかった家族に、お父さんとお兄ちゃんと弟が加わって、二人が五人になった事が本当に嬉しかった。
お兄ちゃんは私がいじめられた時、守ってくれたし、和哉くんは私をお姉さんとして頼ってくれてて、すごく嬉しかった。
だけど、幸せは永くは続かなくて・・・。
私達が出会って、二年立ったある日、私達は離れ離れになった。
原因は、お父さんの浮気。
お母さんは、お父さんと離婚して、私はまた、お母さんと二人になってしまった。
『あんな人達と一緒にいたら、乃亜は駄目な人間になっちゃうわ!』
お母さんはそう言った。
だけど、そんなの違うって、信じてた。
だって、みんなと離れる前の夜、お兄ちゃんは私にキスをして、こう言ったの。
「いつかどこかで、また俺達が会う時が来たら恋人になろう」
って・・・。
その時の私はまだ四歳で、意味なんてよくわからなかった。
だけど、今ならわかる。
お兄ちゃんは私の事が好きだったんだって。
・・・でも、やっぱり、もう十三年も前に離れたんだし、会えるはずない。
そう思って、私はいつもの様に学校へ向かったわけだけど。
どうしてか、こんなにうまく、偶然が重なったのかはわからない。
その日、私のクラスに転校してきたのは、義理の弟だった、和哉くんだった。
和哉くんの席は私の隣。
だけど、私達は一回も話さないまま学校が終わって下校した。
多分、お互い夢だと思ったから。
出会うはずがないって、思ってたから何も言わなかったんだと思う。
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