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『魔法少女まどか☆マギカ』と『エヴァ』、そして『まどか☆マギカ』に関する話
2014/09/14

ミストグラフも紫高の痛印も届いたし、珍獣ハンターのイモトさんも『まどか☆マギカ』
ファンになったことだし、『ヱヴァンゲリオン』みたいに『劇場版まどか☆マギカ』も全
国ネット、夜9〜11時枠に3週連続で放送できないかなー、できればノーカットで、と思
ってしまう今日この頃。まぁ、難しいとは思いますけどね。
スポンサーとか放送料とか視聴率とか、様々な大人の事情のせいで(汗)。
しかも、大ヒットしたとはいえ、『エヴァ』と比べたら『まどか☆マギカ』の知名度はま
だ低い。おまけに、『まどか☆マギカ』のスポンサーであるMBSおよび系列トップのTBS
には、そもそも金曜ロードSHOW!のような全国ネット、夜9時台の映画枠が無いです
し。(-_-;)

↓イモトアヤコさん、キュゥべえと契約・・・? 他色々 : まと☆マギ ブログ
http://www.matomagi.com/archives/40070063.html

で、『エヴァ』と『まどか☆マギカ』と言うと思い出されるのが、TVシリーズ放送時、
『まどか☆マギカ』はよく『エヴァ』と比較されていたけど、よく考えたらどちらも中学
生の物語で、視聴者もそこを敏感に感じ取っているのかも、という話。キャラクターデザ
インが違うので、あまりイメージが沸かないけど、確かにどちらも中学生なんですよね。

この話は、青土社の「ユリイカ臨時増刊号 魔法少女まどか☆マギカ――魔法少女に花束
を」に掲載された、虚淵玄氏と田中ロミオ氏の対談で出てくるんですが、『エヴァ』は明
らかに抜け落ちている部分があったけど、『まどか☆マギカ』には抜け落ちている謎は
なく、基本的に劇中で全て語られているので、みんな無理して謎解きにかかってる気が
する、というのが面白かったですね。確かに『まどか☆マギカ』では、魔女や魔女文字、
ドイツ語の設定、背景美術や画面の演出など、劇団イヌカレーをはじめとするアニメス
タッフが脚本を再解釈した、ストーリー展開自体にはあまり関わらない、後付けの部分の
考察が多い印象があります。

虚淵さんは「ファウスト」なんて読んだことはないそうで、考察サイトで「ファウストが
この物語の下敷きになってる!」と言われて「知らんがな」と思い、さやかの魔女は人魚
と言われた時は、「なるほどお!」と逆に驚いたとかで、田中さんは「ネットとかの考察
って、その作品の正解を探そうとして、作り手の考えよりも深く掘り下げすぎちゃってる
と思うことがある」と語っており、虚淵さんも「違うところを掘ってもお宝ないよー、と
しか言いようがない」と同意してます。

実際、『まどか☆マギカ』に限らず、掘り下げすぎじゃね? と感じるアニメの考察は時
折見かけますね。私はせいぜいキャラクターの心情ぐらいしか考えないので、そんなとこ
からそんな難しいこと考えてんのか! と思うことがあります。(^_^;)

ただ、『まどか☆マギカ』の凄いところは、後付けの設定が余計な要素にはなっておら
ず、むしろ世界観を補強・完成させ、キャラクターも立たせ、結果的に様々な解釈や考察
ができる幅を持たせたことで、ファンが盛り上がって更なるファンを呼ぶという、見事な
テコ入れになった。
しかも『まどか☆マギカ』って、虚淵さんのスケジュールの都合で脚本が完成するまで約
1年、さらにシャフトのスケジュールの都合でアニメ制作が本格化するまでも1年弱、そ
こから放送が始まるまで数か月、企画が始まってから放送までに合わせて2年強の間があ
ったんですが、もしもそんな間もなくすぐにアニメ制作が本格化していたら、スタッフが
脚本を再解釈して様々な要素を追加するなんてできなかったかもしれず、そういう“運”的
なものすら良い方向に働いたと考えると、改めて『魔法少女まどか☆マギカ』ってスゲー
なと思いますね。
実際、劇団イヌカレーは脚本完成後、アニメ制作が本格化する前から作業を開始している
んですが、結局制作が本格化するまでに設定を固めきれず、本編作業と設定の同時進行で
大変だったと、TVシリーズ公式ガイドブックのインタビューで語ってますし。

ちなみに、蒼樹うめ先生のキャラクター原案は、企画がスタートしてすぐに作業を開始し
ていたようで、虚淵さんが脚本を書き始める前から、このキャラクターはこのラフのこ
れ、というイメージだけは決まっていたみたいです。

まぁ、コアなファンの人にとっては、「何を今更」な話だったかもしれませんが、こうし
て『まどか☆マギカ』の制作について呟いていると、本当に様々なファクターによって成
り立っている作品なんだなぁと改めて実感します。虚淵さんも「深読みできる余地がある
ことで俺を誉められても困る」「俺1人の作家性とかそんなわけねー」「俺のせいじゃな
いよ、と言うしかないんですよね」と、ユリイカ臨時増刊号の中でその点を強調しており
ました(汗)。

「ユリイカ臨時増刊号 魔法少女まどか☆マギカ――魔法少女に花束を」は、劇場版が発
表される前に発売された本なので、TVシリーズについてしか書かれていませんが、虚淵玄
氏と田中ロミオ氏の対談の他にも、色々な人の考察・分析が載っており、さらに悠木碧さ
んと斎藤千和さんの対談、おまけに資料にも使えそうな「まどか☆マギカ事典」も載って
いるので、『まどか☆マギカ』ファンなら間違いなくオススメです。

また、脚本が先に完成し、後からアニメスタッフによって様々な要素が追加されていった
ことの証拠として、脚本集の「魔法少女まどか☆マギカ The Beginning Story」もオスス
メ。
これも劇場版公開前に角川書店(現KADOKAWA)から発売された本ですが、
[前編]の「ただ身体を維持するだけでも魔力を消耗する」というほむらの台詞、実は劇
場版で新たに書かれたものではなく、最初からあった台詞だということもわかります。
「The Beginning Story」に収録されている、虚淵さんが一番最初に書いた“0稿”にはあっ
た台詞なんですが、これだと尺に収まらないと、虚淵さん自身が判断してカットしたとの
こと。
なので、「The Beginning Story」を読んでいた人は、劇場版[前編]で「ただ身体を維持
するだけでも魔力を消耗する」という台詞を初めて聞いた時、「あの台詞を復活させ
た……だと!」と思ったはず。私はそう思いました。(^_^;)
他にも、尺の都合でカットされたシーンがいくつかあり、「The Beginning Story」には
その部分の0稿が抜粋して掲載されています。後半には新房昭之監督と虚淵さんの対談も
あるので、もしもまだ読んでいない『まどか☆マギカ』ファンの人がいたら是非。


⚫︎参考書籍
ユリイカ2011年11月臨時増刊号 総特集 魔法少女まどか☆マギカ――魔法少女に花束を
魔法少女まどか☆マギカ The Beginning Story
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