崩壊

□Bubble
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スキとキライ




只、お前の存在確認。





Bubble








−………ザーー…っ



室内に水の弾ける音が響き渡り、そこに明らかに違和感のある体格の良い男が手を泡塗れにし家事をこなしている。

誰が決めたのか何故か家事のほとんどを彼が受け持っていて、これまた可愛らしいエプロン着けて手際よく洗い物を済ませていく。

手を動かしつつも自らの状況に彼自身、俺って結構終わってると思う。などと考え溜息混じりの吐息を零した。

「真子、食べ終わったら自分の分持ってこいよ」

先に食べ終わった拳西は早速流し台に立って皆の使った食器の洗いものに取り掛かっていた。
真子へと呼びかけると顔だけこちらに向け緩く頷く、それを確認すればスポンジへと泡を足し作業に取り掛かる。
これの繰り返しだ、誰かがやらないといけないが何も自分で無くても良いだらうに…拳西は本日何度めになるか分からない溜息を零した。

ふと唐突に感心した様な溜息が聞こえ次に柔らかい口調の言葉が耳に入った。

「拳西は本当に働き者やな」
「…よく言うぜ、俺がやらなきゃ…誰がすんだよ。しかたねぇからしてんだ」

食べ終わったのか立ち上がる音がし笑いを含ませつつ褒める様な言葉を耳にするも正直嬉しくないと唸ってみたが返事が無い、不思議に思い複雑な面持ちで再度手を止め振り返り首を傾げた。
見つめる視線が交合い不覚にも体が熱くなる。

「…何だよ?」
「いや…そうしてると何や嫁っぽいなぁ、思って」
「…っ!ば…馬鹿じゃねーのか!…くだらねぇ事言ってねぇで早く食器持って来い!」
「思った事言うただけなのに」

予想外な言葉に頬へと熱が込み上げた、驚き息を飲むも慌てて声を荒くし否定する。彼なりの照れ隠しだと知ってか知らずか真子はクスクスと微笑み、気の抜けた返事を返し食器を手に拳西に近寄る。
最後に残った彼ら以外は先に食べ終わり部屋には二人きりだ。


「俺も手伝う」
「あぁ…ありがとう…」

こういった、ふとした優しさに拳西は弱かった。先程まで怒っていたのを忘れてしまい、ついつい礼を言い笑みを向けてしまう。

「うわ…凄い量やな、これ全部すんのに何時間かかんねん」
「……それを俺はいつもやってんだがな、文句ばっか言ってねぇで…さっさとやれ」

真子は洗い場に無用に置かれる食器を見て始める前から既に泣き言を口にする、それを軽くあしらい

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