崩壊

□”Je te veux”
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扉からベットまで続く道には脱いだ衣類が散乱していて、それを見るだけで先の行為を急かした事が目に分かる

否、迫ったのは受け身の彼であったのだけど

奇抜な髪を弄りながら眼鏡を優雅な仕種でクイッと上げ見つめる先には裸のまま脱力しきった様にベットを陣取る男が居た。

先刻から一向に動かない様子を見て無理をさせてしまったと流石に心配になってくるものの本人に聞こうものなら罵声を浴びせられるのがオチだ


しかし、このまま彼を置いて他に行くのは危険過ぎる…もう本当に色々な意味で。

仕方がないとベットに歩み寄り柔らかい髪に指を絡めた、咎める言葉が無いという事はどうやら機嫌は良いらしい


「イノトラ、そろそろ起きなよ」

「うっせェな…お前のせいだろうが…あ゙ー…ダリィ」

長い髪がシーツに埋もれ乱れているのに興奮を覚えるも何とか耐え笑顔を繕って声を掛ければ苛立ち含む声音で返事をされる

−やっぱり体が怠かったのか−

労る様に体をさすっていれば不意に体の到る場所に咲く赤い跡に目がいった

手首には何やら見覚えない痣の様なものまであるし…と、ザエルアポロは不機嫌な面持ちで小さく零す

「…此処に来る前に誰と寝たんだい?」

「…あ?別に…誰でも良いだろ」

「…そうだったね、君は誰とでも寝る様な男だ。気持ち良ければそれで良い…」

「分かってんなら聞くなつうの、いちいち答えてたらきりがねぇ」

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