崩壊
□悩内CLATHAS.上
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孤独だと感じた事は無かった、否ずっと独りで生きてきたから感覚が麻痺しているだけかもしれない。
苦だと感じた事は無く寧ろ独りは楽だ、意味の無いくだらない言葉を紡ぐ事も無ければ余計な口だしをする者も居ない。
ただ己の欲望に忠実に生きる
失うものは無く得るものは快楽
くだらない感情に振り回され自分を失うなど馬鹿げていると…そう思っていたのに
だけど俺はお前に出会って変わってしまった
お前の視線が俺に降り注がれる度に無くした筈の心が疼く。
強さや力を高めるのは生存本能、それ以外のくだらない感情など捨てるべきだと…これまでの様に全て消し忘れてしまえば良い。
なのに出来ない
何故なら俺は知ってしまった
お前を求め欲っする、この感情
それもまた本能なのだと。
−悩内CLATHAS.−
初めての出会いは最悪だった。
藍染に呼びつけられウルキオラが半ば急ぎ気味に廊下を歩んでいた時の事だ、前の方から初めて見るおそらく新入りであろう破面が大股でずかずかと歩いて来る、霊圧からして中々腕がたつ様だな、などとウルキオラは悟られぬ様に頭の隅で呟く。
「オィ」
擦れ違うか違わないかぐらいに互いの距離が縮まった刹那、低い重低音が耳に響き声をかけられた事に気ずくのに時間はかからなかった。返事はせず視線だけ向ける、すると男は言葉を続けた。
「テメェが市丸が言ってた十刃って奴だろ」
少なからず自分が十刃だという事は知っている筈なのに、まったく臆する事無く生意気な視線がウルキオラを睨んだ。
視界に入った水浅葱がやたらに映え、脳裏に強く印象ずいたのを覚えている。
「…オィ、聞いてんのかよ?…って何見てやがる、テメェ」
不機嫌なのかそういう性分なのか明らかに声音には刺が含まれ眉間に深く皺が刻まれるのにウルキオラは冷静に判断し無視を決め込んだ。