駝鳥

□Atelier番外編〜PANIC☆Life〜
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「あれっ?ツトム、どこ行くの?」

「買い出し。」


そんな日常の会話の一言から

事件は始まった…



「なぁなぁ今日って肉が安いんだとよ、」

「…へぇ?」

「それから後は洗剤とー…あっ!米とかも安いぜ?それにマヨネーズとか……」

海が入口から持ってきたチラシを

買い物カートを押しながらツトムは覗き込む

育ち盛りで食欲が半端じゃない住人達の食事の買い出しは

毎回一苦労だ

何しろ量が多い為、いつもは小まめに買い出しに行くのだが

何かと今週忙しくしていたせいか気付いてみれば

冷蔵庫の中はからっぽだった

今日は力が普段から有り余った荷物持ちを頼めそうなのも何人かいる事だし


ちょっといつもより多めに買い溜めしとくか…


とツトムはチラシの大特価の文字を眺めながらちらっと店内を見回す


「肉か…。」

「やっぱ肉といえば牛やろ。焼肉せーへん?」


雷が迷っているツトムの右肩に腕、左肩に顎を載せて
ご機嫌に尋ねてくる


「え゛ー!オレは鶏がいいー。鍋とか最高じゃん。環はー?」


「角煮食いてー。…それよりテメーさっさと離れろ。」


文句を言いながら万莉は鶏のコーナーを指差し

環はツトムに絡んでいる雷の靴を後ろから蹴っている

「俺は肉より魚だな。」


何気なくサラっと肉を否定する飛鳥


「僕、ホネがあるのヤダ。」


そんな意見にこっそり突っ込むマオ


「おっ、俺ツトムが作るなら何でもいい!」


初めてのみんなでのお出かけに興奮気味の心


「………。」


どうしてこんな事態になったかというとで

始めの言葉に戻るのだ


30分前…


リビングを横切り

上着と財布を片手に玄関へ向かうツトムに

万莉は何気なく尋ねたのだが

買い出しと答えを返した途端

何故か

ちょっと待った!

と様々な所から声が掛かり
10分後には全員が玄関に揃っていた

近くだから徒歩で行くと言ったツトムに

わらわらと全員が周りを囲むように歩く事

約15分…

駅前からちょっと歩いた所にある


大型スーパーに着いた


ツトムは

その厳つい容姿にまったく似合わない

ピンクの買い物籠がついたカートを

何の躊躇もなく

当たり前のように

馴れた動作で押しながら店内に入った

買い物をするツトムに興味深々の住人達もゾロゾロと続く


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