駝鳥

□Atelier番外編〜その掌に包まれる物〜
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「…何か用か?」


ツトムは話し掛けられたのが環だと解ると

体ごと振り替えって不思議そうにそう聞いた


「何か見てたろ?」

「…ん?あぁ、」


ショーウインドーをまた振り返ったツトムの目線を環も追う

そこにはシンプルなシルバーのチェーンブレスレット

「欲しいのか?」

「あーまぁ…気になるってだけだけどな。」

「…。」


にしては何度も店の前をうろついていたが…

と考えながらも

環はふーん、とだけ呟いてその店のドアを引いた

「!」

ツトムはそんな環の行動に驚きながらも

自分も店内へ続く…


「いらっしゃいませ、」


顎髭を生やした30歳位のお洒落な店員は


「あのディスプレイのヤツだよね?ちょっと待ってて下さいね。」

ちょっと可笑しそうにくすりと笑って言った

ショーウィンドウからソレを取り出して

レジの前のガラスのショーケースの上に並べる


「外から熱心に見てくれてたよね、よかったらゆっくり見てってね?」


そう言って店の奥に入っていった店員に

ツトムは見られてたのか…
と気まずそうにしつつも

目の前に出されたそれを手に取る

チェーン自体はシンプルなデザインのものだが

金具のところが小さなスカルの顔になっていて

目には透明なクリスタルが嵌め込まれ、口が止め金になっている

ちょっと変わったデザインだった

暫くして店員が何か持って戻ってきた


「うちの店はそれぞれ一点ものなんだけど、それのシリーズでピンクゴールドと14金がこれになるね。」

はい、と見せられた同じデザインの金属違い

「イエローゴールドの方はシルバーと値段を合わせる為に14金にしてるんだけど、ピンクゴールドだけちょっと値段が上がりますね。一応ユニセックスなんで彼女とお揃いなんかにしてもいいかもしれないね。」


よく喋る野郎だな…

と思いながら環は真剣に見ているツトムの横顔を見る
意外に長い睫毛に縁取られた目が

真剣にアクセサリーを見ているのが

何だか可愛い

店員の話を聞いているのかいないのかシルバーをじっと見るツトム

そのツトムをじっと見ている環

店員はそんな二人を苦笑いしながら見ていた…




「これ、いくらっすか?」

暫くして

言葉を発したのは、

何故かツトムではなく

横でツトムを見ていた環だった……



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