孔雀

□Atelier
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「ここがあんたが新しく住む所よ。」


そう言って

長い爪でインターホンを連打しながら目の前にいるグラマーな美女は目を細めた

「今住んでるのは全部で7人だけど、皆いい子ばっかよ。まぁ、ちょっと変わり者が多いけど…きっと毎日楽しくなるわ♪」


楽しげにそう言い

目の前の仕立てのいい高そうなスーツに身を包んだラテン系セクシー美女こと、この建物の所有者のカルラは

一枚の紙きれを差し出した

「普段ここの管理は花月に任してるから、困った事とか必要な物あったらこの番号かアタシの携帯に電話してちょうだい。」


ツトムは黙ったままその名刺を受け取った


それにはメルヘンなケーキのイラストと

“〜WonderLand〜 パティシエ兼オーナー 花月 衛(カゲツ マモル)"

と書いてあった


「…パティシエ?」


そう呟いてから眉を寄せてカルラの顔を見る


「そっ♪花月はここの管理も任せてるけど本業はケーキ屋なの♪

今日もホテルのサロンで新作スイーツの発表を兼ねたイベントがあって、だからこうしてアタシがアンタを直々に連れてきてるワケ。まぁ久しぶりにアイツらの顔拝んでやろうってのもあるんだけどね。

花月が作るオペラってケーキ最高なのよ♪今度みんなにお土産に買ってきたげるわv」

「はぁ…」


漸くバタバタと足音が響いて家の中からカチャンと鍵の開く音がして


ガチャッ!


「…。」

「…。」

「あら?心、今日は家にいたの?」


そう言いながらカルラが玄関に入る

ツトムは“心”と呼ばれた青年が目をキラキラと輝かせこちらを見つめたまま動かないので、ツトムも反応出来ずに突っ立っていると
目の前の青年は突然くるりときびすを反し奥に走っていってしまった


「…。」

「恥ずかしがり屋なのよ〜気にしないで♪あんたもさっさと入んなさい。」


住人だろう少年の変わった出迎えに反応出来ないまま
ツトムは促され、その広い玄関に足を踏み入れた

シンプルながらもお洒落な玄関には0号サイズの小さな絵が飾られている

奇妙な渦を巻いたような小さい絵を何の絵かと首を捻ってにらめっこしていると
カルラが痺れを切らして中に引きずりこんだ

首根っこを掴まれたままダイニングらしき部屋へ連れてこられ数分ぼけたように突っ立っていたが

ハタと気付いたように口を開いた


「……誰んちだ?」


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