孔雀

□sidestory※ただいま準備中本編進行後復活予定
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夜中に何と無く散歩がてら行ったコンビニで普段は絶対買ったりしないのに、なんとなくパックのミルクティーを買ってしまった。


〜深みがある濃厚ミルクの〜等とちょっと高級そうな文句の書かれたパッケージが紙のパックに貼り付けられて

なんだか可笑しかった。

普段紅茶に砂糖はいれないし、甘い市販の紅茶類はあまり好きじゃない。紅茶というより殆どジュース感覚のソレらを飲もうなんて思った事はない。


何故か今日に限って手にしたソレを、一口飲んだ




「やっぱり、甘いな。」


Atelierに帰れば外国から取り寄せた様々な薫り高い高級な茶葉が何種類もあるのに…


だけど、やたらと香りが強くて甘いやさしいミルクのハーモニーは小さい頃、母が容れてくれたTeaパックのミルクティーに似ていた。


学生時代から研究や勉強ばかりに毎日を注いでいた母は、その育ちや家柄からは想像がつかない程そういった事に疎かった、きっと母は実家にいたころは紅茶なんてお手伝いさん任せで興味もなかったのだろう。


家に置いてある紅茶は家の風貌とその立派なキッチンにそぐわぬ市販のTeaパックだった


だけど仕事と研究ばかりの母が自宅で仕事の続きをしている間の一休みに煎れる紅茶を飲みたいとせがんで煎れてもらった
小さかった自分を気遣かってたっぷりのミルクと星の形をしたお砂糖を入れて渡してくれた

殆ど思い出といえるものがない母との数少ない嬉しかった記憶

だからとても特別なものに思えた


自分がいくつ位だったのかも全然覚えてないけど
もの心つく前くらい、うんと小さかった頃だっていうのは判る


フゥ〜〜


わざとらしく大きな溜め息を吹いてこの懐かしいような苦いようなもやもやした気持ちを吐き出す



ふと−−ツトムくんは緑茶を煎れるのがうまかったなっと思い出す


最初の知りあったばかりの頃、無理矢理連れられて入ってきて万莉の話の噛み合わない会話を横で延々聞かされてた


そういえば
あの時だっけな?

また相変わらず下らない話しを延々と話してる万莉にいつものようにちょっと注意するつもりでついつい説教じみてしまって…
お茶を煎れるつもりで沸かしといたお湯をすっかり忘れていた


慌てて気付いて火を止めに行こうとしたら


湯気が柔らかく発つコーヒーカップをお盆に載せたツトムくんが立ってた

「湯飲みとか……何処にあるか解んねーから適当に入れちまったけど…」


って
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