駝鳥

□Atelier番外編〜ある晴れた日曜には〜
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.

―ドッドッドッドッ

―ズウォゥン

―ズウォゥン


……?

春の麗らかな陽射しが差し込むガレージの中ウトウトとしていた心の耳に聞き慣れないエンジン音が届く


革張りの柔らかなソファーから体を起こし退屈していた所に新たな興味を擽られて音の響くガレージを覗いた


ひょこっ

「?」

そこには独特な猫背のシルエット

「ツトム?」

どうやらエンジンの点検をしているようでメーターとエンジンを交互に睨めっこ
大きなエンジン音に掻き消されて心の声はどうやら届かなかった様だ


―キュッ

―キュッ

ブレーキの繋かりを確かめ出したツトムの細い腰を狙って…

―ガチャ!

「とつげーき!!!」

―ガバッ!!!




「……どうかしたのか?」

ゆっくりと振り返った顔はいつもの無表情

「びっくりしなかったのか?」

「…びっくりしてる。」

「……顔変わってない。」
「……そーか?」

「うん。」

腰に抱き着いたままの心を見下ろしながら、オイル点検等で少し汚れた軍手を外し

ふわりと頭を撫でてやる


「ずっとあそこにいたのか?」

と一カ所ドアが開いて黒い革張りのシートから色とりどりのマーブルチョコが零れ落ちている高級スポーツカーを指差す

「うん、オレの秘密基地!時々お菓子持ってって本読んだり昼寝したりしてる!」


「……………お前の車?」

「ううん、オレのじゃない!見つかったらいつも殴られる!」

―カツカツ

―ビクッ!

「「……………。」」

「わかった、解った!
今から迎えに行ったるから待っとれや!」

―カツカツカツ

「あぁ?せやから、交差点の角にある店の前やろ?
解った、今から行く行く!ああ、ほんならまた後でな…。」

―ピッ

―カツカツカツ

「…たっく、面倒やなぁ!」

―カツカツカツ

「…………。」

「…………なぁ、車の持ち主って……?

「…うん、雷。」

―カツカツカツカツ

二人同時に顔を合わせた後車をもう一度見る


…………。


ピカピカに磨かれた車のシートから零れる


・・・マーブルチョコ




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