駝鳥

□Atelier番外編〜柔らかな午後に〜
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温かな風にゆらゆら躍るカーテン越しの

柔らかい光が心地よくて


ツトムは堪えられずに欠伸を零した


馴れない高校生活

知らない間に疲れが溜まっていたのかもしれない

学生がこんなに大変だとは思わなかった

目の前の教科書を嫌そうにちらっと見てパタンと閉じると

ツトムはコロリとソファーに横になった

靴下を掃いてない足元がほんの少し寒くて

赤ん坊のように丸まる


柔らかいクッションに顔を埋めると、もう堪えられなくなって瞼を降ろした


―カチャリ


リビングの扉を開けて、海は小さく溜め息をついた

「あ〜あ、またこんなとこで寝ちまって。」

スヤスヤと眠るツトムに苦笑いを浮かべて

今仕方取り入れたばかりの薄手の毛布を掛けてやると

お日様の薫りのするそれに無意識に気持ち良さそうに顔を埋めたツトムを眺めた

切れ長の双眸が閉じられていると

歳相応な表情が覗いて


自分より背も高くて年上のツトムが可愛くすら見えて
そんな考えの浮かんだ頭を焦ったように海は振り払った

「さぁ〜てと、まだ洗濯物終わってなかったんだっけ?」

ごまかすように一人そう呟いて、

赤くなった顔をポリポリとかきながら海はランドリールームに走っていった

その海と交代するように


―ペタン、ペタン

裸足の脚音を響かせながら入ってきたのはさっき起きたばかりのマオだった

ソファーに眠るツトムには気付かずにそのままフラフラと段続きのダイニングキッチンに向かう

時計を見るともうとっくに午後

トースターにツトムが用意してくれていたクロワッサンのサンドを入れ、ラップのかかったスープをレンジに入れた


それらが温まる間に猫缶を手にまたリビングに入ると

ダヤンが肘置きに前脚を載せ2本脚で立ってソファーの上を覗きこんでいる

「?」

ちらっと振り返るとダヤンは遠慮がちにアーと鳴く
なんか在るのかな?

と覗きこんだソファーにはツトムが一匹

ニンマリと唇を上げたマオ
ダヤンと二人でその顔を覗き込む

フンフンと顔を近づけるダヤンの髭が擽ったいのかツトムがきゅっと眉を寄せる

目が開いていれば迫力あるその表情も

今は可愛く見えて

クスクスと声を押さえて笑ったマオは


ツトムの頬っぺたにチュッと柔らかくキスを落として

キッチンで呼んでいるレンジに向かった



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