駝鳥
□Atelier番外編〜我輩はダヤン様である〜
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我輩は猫である。
いや、猫さま。
いやいや、ダヤン様である。
今日の我輩はといえば
美しい花ばなが咲きみだれ春の装いに包まれた温かい庭のテラスにて昼寝…
いやいや、目を閉じてこの美しい花の命の儚さについて感慨に浸っていた処である。
なのに今この気持ちいい…
いやいや、美しい、時間を
邪魔する不粋者がいる。
「あれ?どーしたんだソイツ?」
「にゃんかぁ、ツトムが昨日拾ってきたらしいヨ。」
「マヌケヅラ…。」
「ワァフッ♪」
「こらこら舐めんなや!
くすぐったいやんけ(笑」
「いっちょ前に吠えてんぜコイツ(笑)。」
「あっコラ!お気に入りのシャツにゃんだから、噛んじゃダメだヨ!」
「…タレ耳……。」
わいわい♪
……………。
実に不愉快である。
言っておくが、
これは嫉妬等と言う馬鹿馬鹿しい幼稚なモノではない。
決して……。
あの馬鹿そうに涎れを垂らしたタレ耳の不粋モノのせいで、この美しい時間を邪魔されているというのが気に入らない
というだけである。
断じて
妬きもち等という愚か者が陥る病気ではない。
パシッ!
パシッ!
だがこの高尚な時間を邪魔されているにも関わらず、尻尾による抗議運動だけで済ましてやっている我輩の心遣いさえ、
あの若輩者には伝わっていない。
……なんと嘆かわしい。
ふわっ
「どうしたダヤン。
不機嫌そうだな?」
なでなで。
嗚呼、此処にはあの“犬”とかいう下等な輩の術に惑わされず私の悲痛な訴えに気付くまともな人間もいたのか…。
まぁその輩を連れて来た張本人ではあるが、この際その事には目をつぶろう。
「いい天気だな。
昼寝したくなる気持ちも解るな。」
…まぁその安易なる決め付けにも目をつむってやるとしよう。
何と言っても
彼の膝の上は心地よいからな。
Fin.
ツトムが拾ってきた子犬で遊ぶ海とマオと雷と環
やきもちを妬くダヤン。
動物さえ癒しちゃうツトム(笑)